2010年11月27日(土)「しんぶん赤旗」
本を買えない・バイトが忙しい・学会に行けない
高学費「研究を圧迫」6割
全院協 院生アンケート
全国大学院生協議会(全院協)は26日までに、院生の経済実態アンケート調査結果をまとめました。高学費が研究を圧迫していると答えた人が前年に引き続き60%を超えていることがわかりました。42の国公私立大学の790人が回答。2004年度の調査開始以来最高の回答者数でした。
高学費の影響(複数回答)としては、「研究の資料・書籍を購入できない」が73・1%と突出し、「アルバイトで研究時間がない」(46・1%)、「調査にいけない」(41・2%)、「交通費がないため学会・研究会にいけない」(38・8%)の順でした。
研究・生活上の不安(複数回答・08年度から新設項目)は、「経済上の不安」が75・9%で、前年の69%を上回りトップになりました。「将来の就職状況への不安」は73・3%で前年と同じでした。「学費の工面」は42・7%で、08年度の調査以来増加傾向にあります。(グラフ1)
「奨学金以外で、生活費・研究費を何からまかなっていますか」(複数回答)との質問には、アルバイトが5割、仕送りが4割、TA(ティーチングアシスタント)が3割などとなっています。アルバイトの目的(回答者428人)は、「生活費」が85・7%と最も多く、「研究費」が49・5%、「学費」が41・6%でした。(グラフ2)
奨学金のブラックリスト化(日本学生支援機構が3カ月以上の延滞者を個人信用情報機関に登録するという制度。10年度から実施)については「知っている」が44・4%でした。329人のうち148人が「将来への不安が増加した」と答え、「奨学金の貸与をあきらめた」が15人、「博士課程への進学をあきらめた」が2人いました。
全院協は(1)学費負担の軽減および研究生活の保障につながる経済支援の拡充(2)奨学金制度の充実(3)就職状況の改善(4)国立大学運営費交付金および私学助成の拡充―を要求しています。
「返済のない奨学金ほしい」
院生の声
▽学部生からずっと奨学金とバイトを中心に生活しており、博士課程を終えるころには1千万円近くの負債を背負うことになる。就職できるか見通しがつかないなか、返済やオーバードクターになった場合の生活費など不安だ。(博士課程1年)
▽書籍を購入するためやむを得ずバイトをしている。日々を研究に費やしたい。(修士1年)
▽博士に進んでも就職が厳しそうで進学をためらっている。返済の必要のない奨学金があればありがたい。(修士2年)
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