2010年12月4日(土)「しんぶん赤旗」
出身学生に学費助成
英ウェールズが計らい
中央政府が予算削る中 “機会均等を維持”
【ロンドン=小玉純一】英ウェールズ政府は先月末、ウェールズ出身の学生の学費負担増を避けるために、学費の一部を政府が助成する方針を明らかにしました。同政府のレイトン・アンドリュース教育相は、ウェールズ議会で、「機会均等を維持する」ためだと強調しました。
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財政赤字削減を急ぐ英中央政府は、今後4年間で高等教育予算を4割減らすとしています。イングランド地方の大学の年間学費を現在の最大3290ポンド(約43万円)から2012年度以降は最大9000ポンドにまで引き上げる計画です。
中央政府の予算削減の影響により、ウェールズ地方の大学でも学費値上げは必至とみられ、学生からは懸念の声が上がっていました。
同教育相によると、ウェールズ以外の大学であっても、英国内で学んでいるウェールズ出身の学生には、今以上の学費負担にならないように政府が助成します。
一方、イングランド、スコットランド、北アイルランド出身の学生で、ウェールズ地方で学ぶ学生には、この助成は適用されません。
英国では、イングランド地方の大学の学費値上げが計画されており、これに反対する全国的行動が11月に3回行われました。
ウェールズ政府 英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4地方に分かれ、法制度が異なります。ウェールズ地方は、13世紀にイングランドに征服、その後併合されました。自治権拡大を求める世論が強まるなか、1997年の国民投票で議会設立を賛成多数で決定。99年に初の議会選挙が行われました。議会(定数60)から選ばれた9人の閣僚によりウェールズ政府が構成されます。ウェールズ政府の権限は、英国法で定められた一定の分野に限られています。