2010年12月25日(土)「しんぶん赤旗」
要支援者を保険外に
介護保険改悪案 市町村判断で
厚生労働省は24日、2012年度の介護保険制度改定に向けて来年の通常国会に出す法案の骨格を固めました。法案には、介護の必要度が比較的軽い「要支援」の人を市町村の判断で介護保険サービスの対象から外し、市町村独自の配食サービスなど地域支援事業に移す仕組みを盛り込みます。
政府は、介護保険の「給付の効率化・重点化」を打ち出しており、介護保険サービスの対象を重度に限定し、軽度の人を保険から外していく方針です。今回の法案で「要支援」の人を地域支援事業に移す仕組みを盛り込むことはその方向に沿ったものです。
負担増として検討されていた(1)年間所得200万円以上の人や軽度者の利用料の1割から2割への引き上げ(2)ケアプランの有料化―は見送ります。同日の閣議後会見で細川律夫厚労相が「利用者負担はあげない」と正式に表明しました。利用者負担大幅引き上げへの世論の批判を恐れたものです。
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会の意見書(11月)に盛り込まれていた▼施設入居者の相部屋の室料の全額自己負担化▼居住費を軽減する給付(補足給付)の受給要件を狭めること―については法律で決める事項ではないため、今後、介護報酬見直しの中で検討するとしています。
法案には、そのほか、24時間対応の巡回訪問型サービス創設、介護職員によるたん吸引などの医療行為拡大の法制化を盛り込みます。
都道府県の財政安定化基金などの取り崩しにより、12年度の1人当たり保険料(65歳以上月額平均)が5千円を超えないようにするとしています。
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