2011年1月5日(水)「しんぶん赤旗」

菅首相 年頭会見

悪政推進へ“開き直り”

TPP・消費増税・沖縄基地


 菅直人首相は4日の年頭記者会見で、「(今年を)開国元年としたい」「最小不幸社会を目指す」「不条理を正す政治」と、「三つの理念」を掲げました。

 しかしこれらの実態は、農業と地域経済を破壊する環太平洋連携協定(TPP)への参加、1兆5千億円規模の大企業減税・米軍「思いやり予算」などのツケを国民に転嫁する消費税増税、沖縄に米軍基地を押し付け続ける普天間基地の「県内移設」強行です。自公政権と何ら変わらない悪政のさらなる推進を目指す“開き直り”宣言とでもいうべきものです。

展望示さず

 菅首相は「農業の再生」、若者の雇用対策、子育て支援、沖縄の「基地負担軽減」に取り組むことなどに言及しましたが、具体的な中身や展望は示しませんでした。逆に明確に打ち出したのは「社会保障財源」を口実にした消費税議論の「方向性」提示と、TPPの交渉参加の是非の「最終的な判断」をともに6月をめどに行うとしたことでした。

 財政危機と言いながら、2011年度の予算編成で財界の要求で法人実効税率を5%引き下げ、米軍「思いやり予算」を含む軍事費5兆円規模を“聖域”として維持する菅政権。その一方で、低所得者に重くのしかかる消費税増税を国民に押し付けることは、財界・アメリカ言いなりの最たるものです。

国民を無視

 農産物など例外品目なしに関税を撤廃し、サービス、労働市場も含めて自由化するTPP。アメリカと財界が求めるこの路線には、食料自給率を13%にまで落とし込み、労働者も低賃金競争に巻き込むなど、農業、地域経済、雇用、国民生活に大打撃を与えることから、反対の声が広がっています。にもかかわらず、交渉参加に固執していることも財界・アメリカ言いなりの典型です。

 外交はどうか―。「沖縄に米軍基地が集中することは、総理は不条理だと考えるか」との沖縄地元紙の記者の質問に、菅首相は「不条理の一つだ」と述べました。しかし一方で、普天間基地の代わりの新基地を沖縄県名護市辺野古につくる昨年5月末の日米合意堅持を変更する姿勢はみじんもありません。

 「不条理」と認めるならば、昨年1月の新基地反対の名護市長誕生から、幾度となく沖縄県民が訴えてきた「県内移設」反対の総意を受け止め、普天間基地の撤去に向けた姿勢を宣言するべきです。

 首相会見と同じ日、4日付の地元紙社説は「県内移設」について「理不尽と言うしかない」「民主主義の否定につながる」(沖縄タイムス)とまで書いています。

 菅首相が掲げた「理念」を許すなら、待っているのは未来と展望のない“不条理がはびこる政治”であり、“最大不幸社会”の道です。

 日本共産党の志位和夫委員長が同日の「党旗びらき」で述べたように、どの問題をとってもこれらを許さないたたかいの大義は国民の側にあります。いま、国民的反撃ののろしを上げるときです。(洞口昇幸)





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