2011年1月6日(木)「しんぶん赤旗」
専門家らを証人に
東京大空襲訴訟 原告団が宣伝
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被害者・遺族114人が国を訴え東京高裁で争っている東京大空襲訴訟原告団・弁護団と支援者約30人が5日、東京高裁前(東京都千代田区)で宣伝し、「東京高裁は、専門家証人・原告合わせて7人の証拠調べを実現して、公正な裁判をするべきです」「高裁は7人の証拠決定をし、人権を擁護する砦(とりで)の役割を果たせ」と訴えました。
死者が10万人を超え、被災者も100万人にのぼった東京大空襲(1945年3月10日)。生き残った人は、家族を失ったことで負った心の深い傷、やけどや手足の損傷による後遺症などで、いまだに苦しみ、悲しみが続いています。戦後65年間、国が被害者の救済を放置し続けるなか、物心ともに過酷な境遇におかれ、「生きる」ために自力で人生を切りひらいてきました。
控訴審の第2回口頭弁論(1月12日)を前に、原告団・弁護団は、荒井信一茨城大学・駿河台大学名誉教授ら3人の専門家証人、4人の原告への尋問を通じて東京大空襲被害の実態と国の責任を明らかにすることを求めていますが、国は「事実関係の確定、7人の尋問は不要である」と反対の意見書を提出しています。
寒風の中、原告や弁護士が次々とマイクをにぎり、歩行者や裁判所職員に訴えました。
75歳の女性は大空襲時9歳、弟(当時6歳)と茨城県に縁故疎開中で難を逃れましたが、両親と叔父一家7人を失いました。休む間もなく働き続けた孤児としての人生を声を詰まらせつつ語り、「高裁は尋問でこの空襲の真実に向き合い、しっかりと私たちの声をきいてほしい」と訴えました。
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