2011年1月9日(日)「しんぶん赤旗」
5紙「共同社説」!?
消費増税・TPP「有言実行」迫る
菅直人首相の4日の年頭会見に対し、全国紙5紙(「朝日」「読売」「日経」「毎日」「産経」)が8日までに、いっせいに中身のほぼ同じ社説を掲載しました。6月をめどに、社会保障財源を口実とした消費税増税と環太平洋連携協定(TPP)への参加方針を決めるとした菅首相に実現を迫るもので、見出しも各社横並びという異様な状況を呈しています。
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「読売」は、菅首相が「消費税論議に真正面から向き合う姿勢に再び転じたことは評価できる」とし、「不退転の気持ちで取り組んでもらいたい」と要求。「朝日」は、「いずれの課題も、足元の民主党内だけでなく、国民の間にも慎重論、反対論が少なくない」ことを承知のうえで、「首相は不退転の決意で…合意形成の先頭に」とけしかけています。
各紙とも、首相が消費税増税・TPP参加の姿勢を明言したことを「歓迎」し、両課題が「避けて通れない」「待ったなし」とする論旨も同じなら、「有言実行」「不退転の決意」と、使っている言葉まで同じです。
日本新聞協会の新聞倫理綱領は「あらゆる権力から独立したメディア」として、「正確で公正な記事と責任ある論評」を提供するとしています。この綱領が泣くような状況です。
安保条約改定に対する国民的な反対が盛り上がった1960年6月、在京7紙が「7社共同宣言」を出し、国民の抗議行動を暴力視し政府を助けた歴史を思い起こさせます。
TPP参加には、農業団体にとどまらず日本消費者連盟、日本医師会なども懸念を表明。山形、富山、熊本各県では全市町村で反対の意見書が可決されるなど多くの自治体で反対意見書があがっています。消費税増税も多数の国民が反対しています。
自ら推進してきた「二大政党」の行き詰まりに焦り、増税か福祉切り捨てかの袋小路を迫る姿は、メディア自身の行き詰まりを示しています。