2011年1月16日(日)「しんぶん赤旗」

健康調査、行政の義務

被害者・弁護団ら水俣病シンポ


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(写真)水俣病の健康調査の必要性を訴えるシンポジウム=15日、東京都内

 いまも水俣病被害の救済を求める人が増え続ける中、焦点となっている被害地域全住民の健康調査の必要性を訴えるシンポジウムが15日、東京都内で開かれました。ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議と同全国支援連絡会議が主催し、約130人が参加しました。

 水俣病特別措置法(特措法)に基づく救済では、線引きによって多くの被害者が対象から除外されてしまうことについて、実際に水俣病患者を診察してきた医師から被害の実態が報告されました。

 水俣協立病院(熊本県水俣市)の藤野糺(ただし)医師らは、この間、全国で繰り返し実施されている水俣病検診をふまえつつ、被害は地域や出生年を超えて広がっているとし、行政が健康調査を行う意義を強調しました。

 津田敏秀岡山大学大学院教授は、水俣病が食中毒事件として扱われるべきなのに、「食品衛生法で定められた健康調査の義務が50年以上も一度として果たされていない。これはれっきとした法律違反」と述べました。

 水俣病原因企業のチッソは、本体から事業部門を切り離し、営業権を一手に引き継ぐ新会社「JNC」を12日に設立しました。チッソ本体は認定患者、未認定患者への補償を担い、将来的には本体が所有する株式を新会社に売却し、その資金にあてるとしています。

 チッソ分社化問題で講演した東京経済大学の除本理史(よけもと・まさふみ)教授は、「潜在患者への補償などは特措法に義務付けられていない。株式売却後も補償責任を完遂する仕組みをつくっていくために、安易な売却を許さない運動と世論が必要」と述べました。





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