2011年1月19日(水)「しんぶん赤旗」

世界の食料価格 高騰

輸入頼みの日本に警鐘


 2008年に世界を襲った食料危機。いま各地で食料価格が高騰し、その再発が懸念されています。その大きな原因は異常気象などによる収穫減。食料の大半を輸入に頼る日本にとって人ごとではありません。


 2009〜10年に世界第2位の小麦輸出国だったオーストラリアでは、昨年末以来、北東部で2週間以上にわたって続いた豪雨のため洪水が発生。主要な穀物輸出港が閉鎖されています。

 同国のABCテレビによると、同国ではすでに昨年、イナゴの異常発生で作物に被害が出ていました。洪水の影響と合わせ、小麦の収穫量が落ち込むとともに、輸出量も減少するものとみられています。

 同じく世界有数の小麦輸出国だったロシアでは昨夏の干ばつの影響で、小麦の収穫が減少し、政府は8月に年末までの輸出禁止措置を発表。さらに10月にはその措置を半年延長することを決めました。隣国のウクライナも同様の措置をとっています。

 穀物輸出大国の米国では、農務省が今月、昨秋の米国のトウモロコシと大豆の収穫量推計をさらに引き下げました。大豆の備蓄は35年ぶり、トウモロコシの備蓄は15年ぶりの低水準となっています。

 こうした状況の中で世界の食料価格が高騰しています。国連食糧農業機関(FAO)は5日、昨年12月の世界の食料価格指数を発表。同指数が214・7で、統計を開始した1990年1月以来の最高を更新しました。

 世界の食料供給は依然として不安定な要因を抱えています。一方で需要は、人口増や食生活の変化などで拡大するばかり。「食料は安い外国から買えばいい」などといえる状況ではありません。

 こうしたもとで、農水省の試算でも日本の食料自給率を13%にまで低下させる環太平洋連携協定(TPP)に参加することは、日本の食料の安定供給を危険に陥れることになります。

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