2011年1月22日(土)「しんぶん赤旗」

CO2大量排出 電力会社相手に

公害調停 申し立てへ

法律家ら 温暖化対策強化求める

農漁民・ツバル島民も参加予定


 温室効果ガスを大規模に排出している日本の電力会社に対して、地球温暖化による気候変動の被害を最小限にするための対策強化を求めて、日本環境法律家連盟(JELF)が中心となって公害調停の申し立てを準備しています。米国では気候変動訴訟が多数起こされていますが、日本では初の試みです。


 JELFの木村夏美弁護士は「申し立てを行うのは農民、漁民、海面上昇に脅かされる(南太平洋の)ツバルの住民や環境保護団体の予定です。電力会社は大規模なCO2を排出してきました。この問題ではまず排出実態を明らかにし、石炭・石油に代わる手段があるのに、これまで対策を取ってこなかった責任を問い、対策を進めさせたい。被害が目に見えるような形で出てからでは手遅れになってしまう」と話します。

 政府はCO2排出量を電気使用量に応じて家庭・事業所に配分する「間接排出量」で公表し、直接の大規模排出源をわかりにくくしてきました。しかし、気候ネットワークの分析では、国内の総排出量の約半分が電力会社など150事業所に集中していること(2008年度)がわかっています。

 木村弁護士は「世界は直接排出量での削減にとりくんでいる。しかし、日本の政府や経済界は排出源での削減にはとりくまず、間接排出量でみた家庭や事務所での省エネ機器普及にとりくんでいる。これは間違いだ」と批判。電力会社など大規模排出源での削減対策の重要性を強調し、公害調停で責任の所在と公害発生源への排出削減協定の実現を目指したいとしています。

 申し立ての準備状況については、22日午後3時から東京都新宿区のエコギャラリー新宿で開催される「地球温暖化訴訟の提訴へ向けて」と題した気候変動シンポジウムで報告されます。


 公害調停 公害紛争処理法に基づいて国の公害等調整委員会や都道府県におかれた公害審査会の委員が損害賠償責任の有無や因果関係の解明などを行う制度。

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