2011年1月25日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が24日の議員団総会で行ったあいさつは次のとおりです。


写真

(写真)党国会議員団総会であいさつする志位和夫委員長=24日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます。

 通常国会の開会にあたり、ごあいさつを申し上げます。通常国会に対する日本共産党国会議員団の基本姿勢として、つぎの3点を堅持してたたかいにのぞみたいと思います。

菅政権――国会論戦と国民運動の力で、真正面から対決してたたかう

 第一に、菅民主党政権に対して、国会論戦と国民運動の力で、正面から対決してたたかいぬく決意をまず申し上げたいと思います。(拍手)

 この間の菅政権の動きを見ましても、完全に米国と財界という二つの支配勢力の軍門に下り、彼らにこびを売ることによって自らの政権の延命をはかるという姿がはっきり示されたのではないでしょうか。

 法人税の5%引き下げを表明したのにつづいて、消費税の増税に「政治生命」をかけるということを財界に対して誓約しました。

 「平成の開国」と称して、日本の農林漁業を破壊し、国民への安心・安全の食料供給を破壊するTPP(環太平洋連携協定)の推進にやみくもに突き進もうとしています。

 沖縄・米軍普天間基地の辺野古「移設」の日米合意をごり押しするとともに、日米軍事同盟のいっそうの「深化」を公言しています。

 これらは古い行き詰まった自民党政治そのものであって、政権交代に託した国民の期待を根底から裏切るものであり、国民との激しい矛盾をひろげざるをえないでしょう。

 他の政党はどうかといいますと、自民党も公明党もみんなの党も、消費税増税、TPP推進、日米軍事同盟の強化など、政治の中身では何の違いもありません。“悪政推進の翼賛体制″がつくられているというのが、今の国会の現状であります。

 こういうもとで、日本共産党国会議員団の役割はきわめて重要です。いまや古い自民党政治の忠実な執行者と成り果てた菅民主党政権と真正面から対決して、内政でも外交でも問題の核心をズバリ突き、政治の抜本的転換を求めて、大いにこの国会を堂々とたたかいぬこうではありませんか。(拍手)

あらゆる問題で批判とともに解決の展望を示す論戦を

 第二に、国会論戦では、「批判とともに展望を示す」、このことを心がけたいと思います。

 国民のなかに、政治と社会に対する深い閉塞(へいそく)感が広がっています。同時に、そこからの脱出を求めて真剣な模索が始まっています。それにこたえた論戦が必要です。あらゆる問題で、「日本共産党だったらこう解決する」「私たちが政権を担ったら、こうやって問題を打開する」、展望を指し示す、この仕事が大切になっています。この仕事ができるのも、日本共産党国会議員団をおいて他にないということを強調したいのであります。

経済危機打開――総合的な賃上げ政策を打ち出し、実行せまる

 たとえば、経済危機をどう打開するか。日本経済の最大の問題の一つが、働く人の賃金が下がり続けていることにある。これは立場の違いを超えて、広く指摘されています。こういう状況のもとで、「こんな賃下げ社会でいいのか」と正面から問いかけ、総合的な賃上げ政策を打ち出したい。非正規社員の正社員化、最低賃金の抜本的な引き上げ、中小企業への本格的な支援、解雇規制のルールの強化などを、「ワンパッケージ」で打ち出し、その実行を迫りたいと考えています。

TPP――自給率向上とは両立しない。「食料主権」に立った貿易ルールを

 TPPの問題について、この枠組みへの参加が食料自給率の向上とは絶対に両立し得ないこと――日本の農林漁業を破壊し、地域経済を破壊し、国土と環境を破壊し、何よりも国民への安定した食料供給を破壊する亡国の道だということを、全面的に明らかにしていきたい。

 同時に、今日の世界のもとで、公正で民主的な貿易ルールとはどういうものなのか、とくに食料については「食料主権」に立った貿易ルールの確立こそが、世界の流れになりつつあることを大いに示し、本格的な農業再生の道も示しながら、政府を追い詰めていきたいと思います。

「税と社会保障の一体改革」――政府の致命的弱点をつき転換求める

 政府は、「税と社会保障の一体改革」ということを押し出してきました。しかし、政府の議論には二つの致命的な弱点があります。

 一つは、「社会保障改革」といいながら、やっていることはどの分野をみても、社会保障の切り捨てばかりではありませんか(「そうだ」の声)。後期高齢者医療制度の問題、高すぎる国保料の問題、年金の問題、どの分野をみても、自公政権が続けてきた社会保障費削減のために制度改悪を繰り返す、この道の新たな執行者となっているのが民主党政権ではありませんか。

 そして、「税制改革」といいながら、まず出してきたのが、大企業と大資産家への減税のバラマキではありませんか。一方で社会保障の切り捨てを続け、一方で大企業と大資産家に減税のバラマキをすすめながら、消費税増税というのは論外だということを強く訴えていきたい。(拍手)

 いまやるべきは、削られた社会保障制度を元に戻し、拡充に転ずることです。大企業と大資産家に、もうけ相応の負担、応分の負担を求める本当の税制改革を行うことです。ここでも大きく対案を示しながら、相手の動きを追い詰めていきたいと思います。

沖縄の米軍基地問題――国際的道理に立った“外交力”で平和的環境を

 沖縄の米軍基地問題での今年の課題は、「基地のない沖縄」を願う沖縄県民の総意を、いかにして日本国民の総意としていくか。ここに党国会議員団の大きな役割があると思います。

 そのためにも、日本にかかわるさまざまな紛争問題を利用して、「だから日米安保の強化が必要だ、沖縄の基地もやむをえない」などという議論を打ち砕いていく必要があります。

 いま問題になっている紛争問題は、領土の問題にしても、北朝鮮の問題にしても、その解決を真剣に考えようとすれば、外交的・平和的解決しかありません(「そうだ」の声)。戦争による解決を望んでいる人はだれもいません。国際的道理に立った“外交力”によって北東アジアに平和的環境をつくっていくことこそ大切なのであって、軍事同盟を強化し“軍事力”に頼るというあり方からの根本的転換を求めていく。そういう論陣と一体に、沖縄のみなさんの苦しみに心を寄せ、「基地のない沖縄」への道をともに開いていこうではありませんか。(拍手)

国民のたたかいと連帯し、励ます論戦を行おう

 第三は、国民のなかで澎湃(ほうはい)として湧き起こっているたたかいと連帯した国会論戦を進めるということです。いま国民のなかから、この閉塞状況に怒るだけではなくて、自ら立ち上がり、たたかいによって閉塞を打ち破ろうという力強い動き、新たなたたかいの息吹が起こっています。

 たとえば、TPPに反対するたたかいは、JA=農協をはじめ、農林漁業者全体のたたかいとなり、消費者とも連携が広がり、国民的闘争となりつつあります。さらに、多くの地方自治体から反対の声があがっています。農林水産省のまとめでは、TPPに関する意見書――「参加反対」「参加は慎重に」と採択した地方議会は、道県議会で40、市町村議会で1075、あわせて1115の議会にのぼります。「地域主権」などというのだったら、まずこの地域の声を聞くべきだということを、強くいいたいと思います。(拍手)

 雇用の問題でも、私は、先日、全労連の新春の旗びらきに参加しましたが、大幅賃上げを目指すたたかいが力強く起こっていることを実感するものでした。それから、日本航空の不当解雇はどんなことがあっても許すわけにはいきません。ここで、あの不当解雇を許してしまったら、「整理解雇の4要件」という、これまでの労働者のたたかいでつくられた到達点が崩され、“首切り自由”の社会になってしまいます。空の安全、航空の安全が根底から脅かされる事態になってしまいます。これは日航の労働者だけの問題ではない。全労働者の問題であり、すべての国民の命にかかわる大問題なのです。日航による不当解雇撤回のために、国会議員団が力をあわせてがんばりぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

 地方自治をめぐっても、全国各地の自治体で、高すぎる国保料の値下げを求める運動がさまざまな形で起こっています。住宅リフォーム助成を求める運動も随分広がりました。自治体ごとに多様ですが、地域で起こっている草の根のたたかいへの連帯もきわめて重要だと思います。

 国民のなかでいま力強く起こりつつある新しいたたかいの息吹をしっかり受け止め、しっかりと連携しながら、この国会をたたかいぬきたい。

いっせい地方選挙での勝利への貢献となる大奮闘を

 そして、この国会でのたたかいが、きたるべきいっせい地方選挙での勝利につながる、そういう奮闘をしたいと思います。

 いっせい地方選挙では、もちろんその自治体のあり方が問われますが、有権者からみれば、国政における党の値打ちも、重要な政党選択の要素となります。わが国会議員団が元気はつらつと、その真価を発揮した大奮闘を縦横無尽に行い、いっせい地方選挙での日本共産党の勝利への貢献にもなるような国会論戦をお互いに行うことを呼びかけまして、開会にあたってのごあいさつとさせていただきます。みなさん、ともにがんばりましょう。(「よし」の声、拍手)





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