2011年1月27日(木)「しんぶん赤旗」

関税撤廃で農地荒廃

TPPに市町村長が懸念

共同体が崩壊 地域資源の活用・循環こそ

農水省の意見交換会


 菅直人政権が検討している環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐり、農林水産省の「食と農林漁業の再生推進本部」が18、19日に行った市町村との意見交換会の概要が明らかになりました。TPPに反対、慎重な対応を求める立場が大勢を占め、農業や地域経済への深刻な影響を懸念する意見が表明されました。2日間で参加したのは9市町村長。

 岡山県吉備中央町長の重森計己氏は「TPP参加で関税が撤廃されたら国内農業は太刀打ちできない。多くの農産物が採算がとれず農地が荒廃し、地域の共同体が崩壊する」とした上で、「農業がオール自由化される政策には断固反対しなければならない」と述べました。

 石川県珠洲市長の泉谷満寿裕氏は「TPPで高齢従事者はやめていくことになる。単に所得が失われるだけでなく、地域が失われる。このまま自由化を進めるのは困る」と危機感を表しました。

 政府の施策に対する批判や注文も相次ぎました。

 北海道別海町長の水沼猛氏は、「地域農業にとって一番大事なのは、地域資源の活用・循環により活力をもたらすこと。自然環境の調和、他産業との連携が大事であり、森と川と海は一つを合言葉に資源循環型産業の構築を進めている」と報告。根室管内でTPPへの拙速な参加に反対する集会が開かれたことを紹介し、「政府には国益とは何かについての丁寧な議論をお願いしたい」と求めました。

 兵庫県南あわじ市長の中田勝久氏は後継者の育成について、「生産物の安定など価格や所得の不安定要素を払しょくするような施策がないと生産が危ぶまれる」と指摘しました。

 愛知県田原市長の鈴木克幸氏は「今は特に養豚が厳しく、牛肉ほどの支援がないため、経営者は子どもに継がせたくないといっている。養豚をやりながら農産物を複合経営できるようなことを考えないと、単品だといろいろ影響がある」と訴えました。





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