2011年1月28日(金)「しんぶん赤旗」
経済危機 TPP 社会保障 米軍基地
閉そく打開の展望示す
衆院本会議 志位委員長が代表質問
日航「整理解雇」中止させよ
今の日本を覆う閉塞(へいそく)状況をどう打ち破るか――。日本共産党の志位和夫委員長は27日、衆院本会議で代表質問に立ち、経済・外交の基本問題で菅政権の姿勢をただすとともに、閉塞状況を打破する展望を正面から示しました。 (代表質問全文)
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志位氏は、今日の日本社会の閉塞感の根源に賃金が長期に減り続けている問題があるとして「異常な『賃下げ社会』でいいのかが問われている」と指摘。国連貿易開発会議(UNCTAD)も、日本に対し“輸出競争力を理由に人件費を抑える従来の手法から、賃上げを通じた内需拡大と雇用創出への転換”を求めており、「日本が家計と内需主導の健全な経済成長を実現することは国際的要請ともなっている」と強調しました。その上で政府が、「総合的な賃上げ政策」をワンパッケージで実行すべきだと提案しました。首相は、従来の施策をくり返すだけでした。
志位氏は165人のパイロットと客室乗務員の「整理解雇」を強行した日本航空の無法を告発。判例で確立している「4要件」を蹂躙(じゅうりん)し、安全も脅かすとして、強力な中止指導を求めました。首相は「司法の場で判断される。お答えは差し控えたい」と無責任な態度を示しました。
環太平洋連携協定(TPP)の問題では、志位氏が、食料自給率が13%に急落するという農水省の試算を示し、政府目標の「自給率50%」となぜ両立できるのかと迫りました。首相は自給率についてなんら答えることができませんでした。
志位氏はTPPへの参加には米国の同意が必要となり、食料だけでなく幅広い分野で日本の経済主権を米国に委ねることになると指摘。「亡国」と「売国」の政治には絶対反対と表明するとともに、食料は自国で生産するという「食料主権」の立場にたった貿易ルールの確立こそ求められていると語りました。
首相のいう「税と社会保障の一体改革」について、志位氏は「一方で社会保障の切り捨てを続け、他方で大企業への減税のバラマキを行いながら、消費税の増税など論外だ」と批判。取り組むべきは、社会保障の削減から拡充への転換であり、大企業・大資産家に応分の負担を求め、軍事費を削減する改革だと提案しました。首相は、公約破りの社会保障切り捨てに、なんら反省を示さず、大企業減税を正当化しました。
志位氏は、領土問題など日本を取り巻く紛争問題を理由に日米安保の強化や沖縄の米軍基地の必要性を説く勢力を批判。解決に必要なのは“戦争力”ではなく、国際的道理に立った“外交力”だと力説し、憲法9条を生かした平和外交を求めました。
提案のポイント
○総合的な賃上げ「パッケージ」の実行
(1)非正規労働者の正社員化
(2)最賃を中小企業への支援と一体で時給1000円以上へ引き上げ
(3)中小企業を支援し賃金格差をなくす
(4)解雇規制のルールを強化
○TPP参加に反対、食料主権にもとづく貿易ルールを
○消費税増税は論外、社会保障拡充、大企業・大資産家に応分の負担を
○“戦争力”ではなく国際的道理に立った“外交力”で東アジアの平和を