2011年1月29日(土)「しんぶん赤旗」
B型肝炎
政府、和解案を受諾
原告側 “謝罪・加害責任明らかに”
集団予防接種の注射器使い回しをめぐり、国の責任が問われたB型肝炎訴訟で、政府は28日、関係閣僚会合を開き、札幌地裁が提示した和解案(所見)の受け入れを正式に決めました。細川律夫厚生労働相が同日午後、受け入れを表明しました。
原告側も受諾を決めており、3月にも基本合意を締結し、係争中の全10地裁で和解が成立します。
全国原告・弁護団は「ひとつの前進だが、国の責任を明らかにして謝罪し、残された問題について協議する場を求める」との声明を発表しました。
全国弁護団代表の佐藤哲之弁護士は札幌市内で記者会見。「国は謝罪と原因究明、再発防止をきちんとすべきだ。加害責任を明確にした上で、解決に当たる姿勢を示すことを望む」と話しました。
佐藤弁護士は政府内から財源確保のため増税論が出ていること関し、「被害者に対する新たな差別、偏見を拡大する」と懸念を示しました。
北海道訴訟原告団代表の高橋朋己さん(57)は「良かったと思う」としながらも、「国は早急に解決に向け、行動を起こしてもらいたい」と厳しい表情を見せました。
政府が定めた救済方法では、特別な財源を確保し、新たに設けた基金から患者の症状に応じて3600万〜1250万円を支給。無症状の持続感染者(キャリアー)には50万円の和解金と定期検査費用を支払います。
一連の訴訟は、患者や遺族ら計630人が国家賠償を求めて集団提訴。先行する北海道訴訟で今月11日、札幌地裁が和解案を示しました。