2011年2月1日(火)「しんぶん赤旗」
トド 漁業被害(昨年度)13億円
北海道石狩 紙議員が調査・激励
日本共産党の紙智子参議院議員(党農林・漁民局長)は31日、北海道の日本海側で増加しているトドによる漁業被害の調査で石狩市厚田区に入りました。
近年、北海道へのトドの来遊数は増加し、1990年代の初めから被害が急増。漁網の破損や漁獲の減少などによる09年度の道内の被害額は、13億円を超えています。来遊数が増加している原因は、諸説ありますが、科学的な解明はされていません。
紙議員は、同市厚田区濃昼(ごきびる)の漁師を訪れ、激励しました。
「これ以上、トドが増えたら、商売(漁業)できないよ」
石狩湾漁協の浜益地区青年部長・藤巻信三さん(36)は憤ります。藤巻さんはニシン漁で、1反・6000円近い刺し網を1シーズン、約500反使用。しかし、トドが網を破損するため、2年程度で大半が使用できなくなるといいます。強化網もありますが、価格は倍以上です。
「ニシンを育て、やっと増えてきたと思ったら今度はトドだ」。日本海沿岸では、“磯焼け”と呼ばれる海藻の減少も深刻で、漁師を苦しめています。
紙議員は「(トドによって)水揚げの3分の1が損なわれていると聞き、漁師のみなさんの存亡がかかった問題だと痛感した。従来の枠にとどまらない補償と対策に知恵をしぼる必要がある」と話していました。
調査には、蜂谷三雄・石狩市議、党道委員会の畠山和也政策委員長らも参加しました。
トド アシカ科の哺乳類。体はアシカに似ていますが、オスは体長3メートル以上、体重約1000キログラムに達します。食物は魚類やタコなど。太平洋北部で繁殖し、北海道などに回遊します。