2011年2月1日(火)「しんぶん赤旗」

小沢マネー 底なし

解党のたび大もうけ

09年総選挙時の原資にも

強制起訴


 「虚偽記載を主導した」「原資にも疑惑」―。31日の強制起訴で厳しく指摘された民主党の小沢一郎元代表の「政治とカネ」をめぐる疑惑。しかも小沢氏は、起訴された事案にとどまらず、数々の疑惑が指摘されています。(「政治とカネ」取材班)


 「小沢さんは、政党を作って壊すたびに大もうけしている。わが党も、カネの問題でいろいろ批判されるが、あんな露骨なやり方は聞いたことがない」。自民党参院議員の金庫番を務めるベテラン秘書でさえ、こうあきれるのは「解党ビジネス」ともいうべき手法です。

 小沢氏が中心になっていた新生党と自由党の解散時に残った政治資金の大半に当たる約23億円が、小沢氏側に移されています。

 94年12月に解党した新生党の残り資金約9億2500万円を小沢氏が実質的に運営する政治団体「改革フォーラム21」に移動。09年の政治資金収支報告書によると、その資金のうち3億7000万円が同年7月21日の衆院解散当日に小沢氏が支部長を務める政党支部に寄付され、翌22日、同氏の資金管理団体「陸山会」に流し込まれています。

 小沢氏は09年の総選挙で、民主党候補91人に計4億4900万円を配っていますが、「解党マネー」が事実上の原資となっているのです。91人のうち、88人が当選しました。

 新生党は立法事務費、自由党はそれに加えて政党助成金という税金を受け取っています。それを私物化する小沢氏はもちろん、そのカネの恩恵にあずかった民主党の責任も重大です。

 小沢氏が民主党代表だった06年〜08年に、「組織対策費」として山岡賢次財務委員長(現副代表)や輿石東参院議員会長ら小沢氏と親しい4議員に計23億円が支出されたことも批判をよんでいます。受領した議員側には、政治資金収支報告書への記載義務がなく、巨額資金が使途不明になっているのです。

 これまでに問題が指摘されてきた“小沢マネー”の総額は、本紙の集計によると約83億円にのぼります。

 一連の小沢疑惑の核心は、小沢氏の地元、岩手県奥州市に建設中の胆沢(いさわ)ダムをはじめとした公共事業で、ゼネコンに「天の声」を発するなど影響力を行使し、その見返りにゼネコン側から巨額な資金提供を受けてきたのではないか、ということです。今回の起訴を契機に、小沢氏をめぐる疑惑の全容解明が求められます。


 「陸山会」土地購入事件 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」が2004年に入手した土地の購入費などを収支報告書に記載していなかったとして、東京地検特捜部は昨年1月、政治資金規正法違反容疑で衆院議員石川知裕被告ら小沢元代表の元秘書3人を逮捕、2月に起訴しました。小沢氏は「嫌疑不十分」として不起訴となりましたが、東京第5検察審査会は2回にわたって小沢氏を「起訴相当」と議決。強制起訴の運びとなっていました。


「十分な捜査できた」

検察官役の指定弁護士会見

 民主党の小沢一郎元代表の強制起訴を受けて、検察官役の指定弁護士3人が31日午後、東京地裁内で会見を行いました。

 今日の強制起訴について、村本道夫弁護士は「いろんな論点を3人でつめていって、一里塚ではあるが、ここまで来てホッとした」と感想をのべました。

 山本健一弁護士は「検察審査会で議決されたからということではありますけども、当然、議決にしたがって有罪判決がえられるよう努力したい」と意欲をみせました。

 また補充捜査で、小沢氏らから事情聴取ができなかったことについて聞かれると、大室俊三弁護士は「可能な範囲で尽くせたと思う。聴取ができなかったことは、思い通りだったといえないが、十分な捜査はできた」と自信を見せました。

 検察審査会の議決を受けての強制起訴という新しい経験。

 大室氏は「司法改革の一環として国民の意思を発揮するために新たにできたこの制度が定着するように『それがおかしなものではなかったんだ』という布石を私どもがつくっていければいい」と意欲を見せました。





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