2011年2月6日(日)「しんぶん赤旗」

インドネシア・フィリピン

コメ高騰に危機感

「食の安保 確立急げ」


 【ハノイ=面川誠】コメ価格上昇への警戒感からインドネシアとフィリピンで食料安全保障の確立が急務だとの論議が高まっています。食料価格高騰が社会不安の引き金になりかねないという危機意識も背景にあります。


 インドネシアのユドヨノ大統領は先月末、スイスで開かれた世界経済フォーラムで、「20カ国・地域首脳会議(G20)で食料安保を優先課題とする」ことを呼び掛けました。

 同氏は「食料価格の高騰は貧困と飢餓を悪化させ、社会的・政治的な不安定をもたらす」と指摘。「対応を誤れば、新たな経済紛争が起こる」と警告しました。

 インドネシアは先週82万トンのコメをタイから輸入、コメの関税を一時停止しました。昨年乱高下したコメ国際取引価格を念頭に置いた緊急対処です。

 世界最大のコメ輸入国であるフィリピンの下院で先月、有機食料フェスティバルが開かれました。議員の1人は、「政府は持続可能な食料安保を確立する政策を取るべきだ」と語りました。

 同国政府は今年のコメ輸入量を昨年の3分の1の約70万トンに減らす計画。昨年の大量輸入で在庫が余っているという理由です。

 政府は今年、コメ輸入を管理してきた国家食糧庁(NFA)の役割を見直し、低所得コメ農家に対する生産奨励などの食料安保政策に集中させる改革を進める方針です。

 国連食糧農業機関(FAO)が最近発表した食料高騰の影響を受けている国への政策指針は、大量輸入、輸出規制、価格抑制といった短期的な政策は「国内的には価格の低下によって生産者の意欲をそぎ、国際的には不安定と混乱を引き起こし、いっそうの価格上昇を招く」と警告しています。


世界は食料不安時代へ

WFP事務局長

 国連の世界食糧計画(WFP、本部ローマ)のシーラン事務局長は4日、声明を発表し、中東・北アフリカで起きた一連の抗議行動は食料価格の安定がいかに重要かを端的に示したものだと強調しました。

 同氏は「多くの抗議行動で、デモ参加者はパンを振りかざし、レンズマメなどの基本食料品の価格高騰に対する怒りを表明したプラカードを掲げている」と指摘。「こうした食品は生きるための栄養的な基礎だ。人々は食料品が手に入らなくなると感じたときに不安が高まり、疎外、怒りと絶望の感情が増進する」と語りました。

 同事務局長は3日、ロンドンでのロイター通信とのインタビューで、「われわれは食料不安と供給崩壊の時代に入りつつある。これは世界にとって極めて危険な課題だ」と指摘しました。

 同氏は、「もし人々が十分な食事が得られないなら三つの選択肢しかない。それは暴動を起こすか、移民するか、死ぬかだ。われわれには、もっとよい選択肢が必要だ」と述べ、「食料供給を真剣に考えなければならない時代にある」と語りました。





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