2011年2月8日(火)「しんぶん赤旗」
主張
小沢「陸山会」事件
国民へ説明責任ますます重い
「政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない」。戦後の長い政治の営為のうえに、国民の合意として確立された政治資金規正法の理念が､いま正面から問われています｡
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記載事件で、小沢氏の３人の元秘書の公判が始まりました。小沢氏周辺を巨額の不明朗な資金が飛び交った事件の真相を徹底解明するべきです。
ゼネコン資金隠し
事件は陸山会が４億円もの不動産を取得したさい、小沢氏がその取得資金を手元資金から出したにもかかわらず、それが世に出ることを避けるために、収支報告書に記載しなかったというものです。
小沢資金を隠すために、必要のない銀行貸し付けを受けて数百万円の利子負担までしています。とにかく資金の出所を隠すために、秘書団が大汗をかいていた事実が、裁判に提示された冒頭陳述に、くっきり残っているのです。
初公判での各被告の罪状認否は、あきれるような内容でした。衆院議員でもある石川知裕被告は「記載したつもりだった」、元公設第１秘書の大久保隆規被告は「知らなかった」、元私設秘書の池田光智被告は「虚偽にはあたらない」といった具合です。小沢氏はかねがね、みずからの政治資金報告について「すべてガラス張りでやっている」と強弁しています。これでどうして「公明正大」をいえるのか。
検察は冒頭陳述で、小沢氏の地元岩手県内のダム工事をめぐり受注を了承したことの謝礼として三重県内の建設会社の元社長が２回にわたって各５０００万円、計１億円を石川被告、大久保被告に渡した事実を指摘しました。これはまさにゼネコンのヤミ献金です。
この現金授受の時期が、陸山会の不動産取得と重なっており、その実体が表にでて胆沢ダム工事との関連が取りざたされることだけはどうしても避けたい。そのために、登記の日時をずらすなどの手口まで使い、政治資金収支報告書への虚偽記載を実行したとすれば、その「犯意」はまことに悪質だといわざるをえません。
この裁判では、大久保被告が政治資金規正法違反罪に問われた西松建設の偽装献金事件も併合して審理されます。西松が規正法逃れのためにダミーの政治団体をつくり、小沢氏側に巨額の献金をしていたものです。
小沢氏とはいったいどういう政治家なのか。国民の税金で行われる公共事業への影響力を使って、巨額のゼネコンマネーを集め、それを自派の議員にばらまいているのではないのか。税金の還流だけに徹底した解明が必要です。
金権政治断つ追及を
「岩手県では、小沢氏を頂点とする国および地方の公共工事を取り仕切る仕組みがつくられている」。国会で、日本共産党の議員が小沢氏の「天の声」疑惑を初めて追及したのは１９９３年１０月のことでした。それから１８年。日本国民は、数々の政治家の腐敗事件を目の当たりにし、金権腐敗政治の一掃を求め続けてきました。
司法の場の解明と合わせ、いま国会が、金権腐敗政治の根を断つ本格的な追及をするべきです。
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