2011年2月8日(火)「しんぶん赤旗」
茶封筒5000万円手渡し
水谷建設と小沢事務所結ぶ線
元秘書公判
「胆沢ダム建設工事に絡んで水谷建設から1億円を受領した」「虚偽記載は、それを隠すため」。民主党元代表・小沢一郎被告の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件をめぐる元秘書3人の初公判(7日、東京地裁)では、中堅ゼネコン水谷建設からの裏献金が重大焦点となりました。検察側の冒頭陳述などで浮き彫りになった、公共工事を食い物にした裏献金の実態は―。
この日の公判が明らかにしたのは、小沢事務所と水谷建設を結ぶ線です。
その舞台は小沢被告の地元、岩手県奥州市に建設中の胆沢ダムの本体工事でした。
検察側冒頭陳述によると、下請け共同企業体(JV)の幹事会社になるため水谷建設の当時の社長が小沢事務所に陳情を繰り返してきたといいます。
その働きかけは、単なる陳情にとどまりません。「大久保隆規被告を訪問し、料亭で接待するなどして、また『お歳暮』『お中元』と称して、その都度現金100万円を渡した」というものでした。
そして2004年9月ごろ、大久保被告が水谷建設に持ちかけた条件―。
それは「二つの工事で下請けJVの幹事会社にしてほしければ、工事の開札直後に5000万円、水谷建設が両工事で幹事会社に決定した後に5000万円の計1億円を小沢事務所に供与する」というものでした。
その要求を、当時の社長は承諾。そして04年10月6日に大久保被告と面会し、5000万円の受け渡し日を相談。同社の簿外資金の管理人に指示し、5000万円を用意させました。その金は「宅配便用の茶色封筒」に入れられました。
同年10月15日午後、東京都港区の東京全日空ホテル(当時)で大久保被告の代理で来た石川知裕被告に手渡したとされます。さらに05年4月19日に、大久保被告に5000万円を手渡しました。
その結果、水谷建設は二つの本体工事で下請けJVの実質的な幹事社となることに成功。同下請け工事の約60〜70%を占める売上高を上げる結果になったと検察側は指摘しました。
この日、証拠調べで紹介された、石川被告が録音した検事とのやりとりでも小沢事務所と水谷建設の深い関係がうかがわれました。
検事「水谷建設は元秘書とかなり親しかった。それが大久保被告に移った」
石川「小沢氏と反目する関係になった元秘書から大久保被告にスムーズに移ったとは思えない」
検事「大久保被告が乗っ取ったらしい」
石川「それならわかります」
石川被告も思わず認めてしまうほどの業者との癒着関係。公判ではさらに解明が求められています。
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