2011年2月12日(土)「しんぶん赤旗」
「軽度」介護外しノー
政府方針撤回へシンポ 東京
重度化防止 しっかりケアこそ
「異議あり、介護保険見直し政府案 利用者・現場の声を届けよう」と題して11日、東京都内で介護シンポジウムが開かれました。雪のなか、全国から約200人が参加。「要支援者を介護保険サービスから外すのは許されない。政府改定方針の内容を多くの人に知らせ、撤回させるまで声と運動を広げていこう」と熱気のこもった議論をおこないました。主催は同実行委員会。
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厚生労働省が今国会に提出予定の介護保険法改定案(2012年実施)に、市町村の判断で要支援者を介護保険サービスの対象外にし、ボランティア任せの安上がりの保険外サービスに置き換えることのできるしくみが盛りこまれていることが明らかになっています。
立教大学の芝田英昭教授が、新自由主義をあらわにした財界・政府の社会保障戦略について基調報告しました。
シンポジウムで、認知症の人と家族の会本部副代表理事の勝田登志子さんは、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会の委員として、要介護認定の廃止を含め必要なサービスをいつでもどこでも適切に受けられるよう利用者の立場から粘り強く発言をつづけてきたことを紹介。「認知症の場合、軽度のときこそしっかりしたケアで重度化させないことが重要」と強調し、「軽度者を保険外にすることなどとんでもないという声をもっともっと上げていただきたい」と訴えました。
全日本民医連の林泰則事務局次長は、介護保険見直しの特徴と問題点を報告。今回の基調は「理念より金策」と指摘される、財政事情を優先させる見直しだと批判。要支援者の保険給付の縮小・再編により市町村のサービス格差を広げることになる点や、介護施設の多床室の室料徴収など利用者負担増の火種も残されている問題を指摘しました。
社会福祉法人すこやか福祉会理事長の中山美千代さんは、特別養護老人ホームでの介護の実態を紹介。「生活を支える生活援助を保険から外すと重度化がかなり進行していくと思う」と発言しました。立命館大学の小川栄二教授は、全労連が実施した高齢者分野の介護労働実態調査の結果について報告しました。
会場からは、昨年11月の「介護110番」では2日間で7300本ものアクセスがあり、「保険あって介護なし」の実態の訴えが多かった(中央社保協)など各地の活発な取り組みを交流しました。
集会には日本共産党の山下芳生参院議員が参加、田村智子同議員がメッセージを寄せました。