2011年2月21日(月)「しんぶん赤旗」
TPP反対 広がる共同
岩手 JA・建設業・生協など40団体
環太平洋連携協定(TPP)への参加に反対し、農林水産業や暮らしの安全・安心を求める共同が広がっています。岩手県では、農林水産業団体と生活協同組合が呼びかけ40団体による共同組織が1月31日に発足して活動を始めています。23日には地域を回る宣伝署名や小集会を開く「キャラバン宣伝」をおこなうことにしています。
共同組織は「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議」です。県農協中央会はじめ農林水産関係20団体、生協関係ではいわて生協など消費者7団体が加わります。岩手県建設業協会も参加しています。岩手県生協連合会とともに、食健連の運動として共同を広げてきた、いわて労連、農民連、新日本婦人の会、商工団体連合会なども参加しています。
「幅広く呼びかけています。参加団体はまだまだ増えます」とJA岩手県中央会の畠山房郎参事は広がりに自信をみせます。全加盟団体に請願署名用紙を渡し、当面、20万署名を目指します。
参加団体の代表が指摘するのは、暮らしと仕事への不安です。同県のTPP被害試算では、農業1469億円、水産業は191億円、そして北海道につぐ森林面積がある林業は22億円減少します。
県森林組合連合会の沢口良喜参事は、「コストを下げる努力もし、いままで捨ててきた間伐材もここ数年、合板や集成材用に使われだしてきた。自給率をあげようという矢先に、TPPで関税撤廃の話とは、とんでもない」といいます。
盛岡医療生協の佐藤正勝専務は、TPPで「非関税障壁」として日本の公的医療制度が改廃されると指摘。「いまでも地域の暮らしは大変。民間保険会社に加入しないと治療が十分にできないアメリカ社会のようでは大変なことになる。外国人看護師・介護士の移動も研修ならともかく、安上がりの労働力の自由化なら医療が混乱する」といいます。
設立呼びかけ人となった岩手県生協連の加藤善正会長が語ります。
「TPP問題では、農林水産業と経済成長を対立的に描くマスコミ論調があります。消費者団体をはじめみんなで食料や農業、地域経済、環境などを守る共同組織をつくらないと有効な県民運動にはならないと一致したのです。いまこそ、日本の食と農林水産業の役割、日本文化と社会のあり方、真の国際貢献のあり方を考える国民運動を広げる機会にしなければなりません」
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