2011年2月23日(水)「しんぶん赤旗」
泉南訴訟 国が和解拒否
大阪高裁 石綿被害原告ら抗議
大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟控訴審の進行協議が22日行われ、国は大阪高等裁判所(三浦潤裁判長)に対し、和解を拒否すると回答しました。和解は早期解決を求める原告が求めていたもの。原告団、弁護団は「『生きているうちに解決を』の願いを真っ向から踏みにじるものだ」との声明を発表し、断固抗議する姿勢を明らかにしました。
原告らに報告した村松昭夫弁護士は、和解拒否の理由として国側は、一審判決に不服があること、他のアスベスト訴訟に与える影響が大きいことを挙げ、「(和解拒否は)菅首相も承知している」と発言したと伝えました。同弁護士は、「70年に及ぶ泉南アスベスト被害の解決に向けた協働の作業そのものに背を向けるもので、許しがたい」と話しました。
記者会見では原告が涙を浮かべ国の姿勢に抗議しました。提訴後5年間で4人の原告が病状の悪化や肺がんを併発して亡くなり、酸素吸入が手放せなくなった原告も多数に上ります。
岡田陽子さんは酸素を吸入しながら「私はまだ54歳です。このような体になったのは国が危険性を知りながら隠し通してきたからです。国の謝罪もなく、死んでいくのはいやです。国は私たちを救済する気があるのですか。私たちが死に絶えるのを待っているのですか?」と訴えました。