2011年3月8日(火)「しんぶん赤旗」

生命保険業界の調査部

政界工作の実態

議員会館回りが仕事

不払い「ご説明」 秘書にも接待


 保険金不払いをめぐる政界工作が問題になっている生命保険業界で、大手生保各社の調査部は工作の“実行部隊”です。調査部は、政官業の癒着を強めるためにどんな活動を行っているのか―。複数の関係者の証言でその一端が見えてきました。(生命保険「不正」取材班)


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(写真)生保調査部による金融族議員や秘書の接待に使われた都内の飲食店

 調査部は、政界や監督官庁の金融庁などの情報収集を日常的な業務としています。

 本紙が入手した資料などによると「政治家への対応」は、調査部の重要な任務であり、政界工作を専任とする担当者が配置されています。

 国会の議員会館回りは、調査部の重要な仕事です。

 自民党金融族議員の元秘書は、「自民党が与党だった時は、調査部の方が時々、フラッと部屋を訪ねてきては、党の税制調査会の進展状況や国会の動きを聞いていった」と言います。

 生保業界では2005年に保険金不払いが発覚。その元秘書は「不払いが話題になっていた時期は『事実関係をご説明に参りました』とよくお見えになられていた」と振り返ります。

 自民党では、07年ごろに若手議員らが生保などの金融関連の勉強会を立ち上げました。中心になったのは、生保業界との親密な関係が指摘されている山本明彦元金融担当副大臣らです。

 この勉強会のメンバーになっている議員の元秘書は「前日になると、『事前にご説明させてほしい』と調査部の人間が来ていた」と話します。

 調査部の担当者と会う場所は、議員会館内だけとは限りません。第一生命は08年度から09年度にかけて、議員や秘書43人を都内の飲食店などで接待していました(本紙10年9月12日付既報)。同社の接待では、秘書だけを接待したケースも目立ちます。

 ある大物金融族議員の秘書経験者は「生保側がどうしても議員と直接、急ぎで話したい時があったりする。面談の時間を取り付けるにも取り次ぎ役の秘書と親しいか、親しくないかは大事だ。『将を射んと欲すれば、まず馬を射よ』というやつだ」と話します。

 生保業界が政治家への働きかけに力を入れる理由について、ある生保業界関係者は「業界と金融庁、政治家はじゃんけんのような関係だ」と指摘します。

 「つまり、金融庁は業界には強いが、政治家には弱い。だから政治家とのパイプをつくっておきさえすれば、ある程度、当局を規制することができるというわけだ」

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