2011年3月11日(金)「しんぶん赤旗」

TPP阻止 共産党前進こそ確かな力

論戦とたたかい結び


 各地で、輸入品の関税を撤廃し日本の食料や農業、地域経済に重大な影響を及ぼす環太平洋連携協定(TPP)参加に反対する運動が燎原(りょうげん)の火のように広がっています。この問題がいっせい地方選挙の大争点の一つとなっています。国政でも、地方政治でも、TPP参加反対をきっぱりと掲げている日本共産党をのばしてこそ、参加を阻止する一番たしかな力になります。(中東久直、若林明)


 2日に千葉市で開かれたTPP参加阻止県民集会。日本共産党の志位和夫委員長は「なんとしても国民的たたかいで(参加を)阻止しよう」とよびかけ、主催者代表の林茂壽JA千葉中央会会長と握手を交わし参加者の大きな拍手をうけました。対照的だったのが、民主党の国会議員。「総理の唐突な発言で、みなさんに多大なご心配、ご迷惑をおかけした」とあいさつすると、「いいわけばかりするな」などのやじと失笑で会場が騒然となりました。

 林会長は集会後の記者会見で、「その時その時で、詭弁(きべん)のように聞こえた。憤まんやるかたない。それが国会議員かといいたい」と民主党への不信感をあらわにしました。

問題点を鮮明に 

 昨年秋の臨時国会、今年の通常国会と、TPPの重大な問題点を追及してきたのは日本共産党の国会議員団だけでした。

米の経済戦略に

 「アジアの活力を取り込む」という政府の言い分についても、中国、韓国はTPPに不参加、インドネシアやタイは一線を画していること。日本が加われば、全体のGDP(国内総生産)の90・8%を日米で占めることになることを指摘。「アジアの成長をとりこむのでなく、アメリカの対日戦略に日本が取り込まれることになる」(志位委員長の衆院予算委員会質問、2月2日)と明らかにしました。

食料自給率低下

 TPP参加と農業再生が「両立」するかのようにいう菅内閣の主張を批判。農林水産省の試算でも、米の生産額は最終的に90%減少し、食料自給率は40%から13%まで低下するとしていることをあげ、TPP参加は食料自給率向上と両立しないことを明らかにしました。

食の安全脅かす

 TPP参加によって「日本が、食品安全、医療、雇用、金融などあらゆる分野で経済主権を失う」(志位質問)ことを論戦で追及。アメリカは残留農薬が残る農産物や大腸菌つきの食品まで認めろと迫っていることを示しました。

 TPP参加阻止の声は全国の地方議会に広がっています。「参加に反対」・「慎重に対応」を求める意見書の可決は40の道府県議会と1075の市町村議会を合わせて1100を超えています。道府県議会の意見書では「参加すべきではない」11、「慎重に検討すべき」23、「農業の国内対策が必要」4、「その他」2となっています(農水省まとめ)。

世論・メディアに変化

 こうした国会内外での議論と国民のたたかいの広がりによって、世論にも変化が出始めました。「産経」・FNN(フジ系)の世論調査(3月1日付)では、菅内閣のTPPへの取り組みを「評価」するが33・6%、「評価しない」38・6%とTPP参加に否定的な意見が、肯定的意見を上回りました。

 TPP参加推進のキャンペーンをはっている大手マスメディアの一部にも「TPP交渉への参加 日本有利が不可能なわけは」(「毎日」2月3日付)、「TPP反対 長野・中川村の気勢 『生活破壊』村挙げデモ」(「東京」同月24日付)などの報道も現れています。

 全国の地方議会で日本共産党の地方議会議員(団)が、幅広い団体と共同をすすめるとともに議会での粘り強い活動をした結果です。

他党の態度は?

民主・みんな 参加推進

自民・公明 だんまり

 他の政党の態度はどうか―。民主党とみんなの党はTPP参加推進の立場です。

 施政方針演説で「平成の開国」を掲げ、TPP交渉参加に向けた協議を表明した菅直人首相。「平成の開国」を、「税と社会保障の一体改革」とともに政権の二大方針に掲げ、TPP交渉参加について6月までに結論を出すと明言しています。このことが、国民の民主党への失望、怒りを広げている要因の一つとなっています。

 みんなの党代表の渡辺喜美氏は、「政権を担えば、TPP交渉への参加を即、宣言する」(日本農業新聞1日付)とのべています。「尊農開国」を看板に「TPP参加を明言している唯一の党」(江田憲司幹事長)と胸を張ります。

 自民党、公明党は、TPP交渉参加に「(賛成、反対の)どちらとも言えない」(日本経済新聞5日付)と、いっせい地方選を前に賛否について口をつぐんでいます。

 4日の参院予算委員会で、自民党の山本一太参院政審会長はTPP参加について「ダメになったら、日本外交のダメージは極めて高い」「できなかったらどうするのか、第3の鎖国にするのか」と述べ、参加をあおりました。

地方議会で矛盾も

 国民の懸念の広がりに、TPP参加推進の民主党も多くの地方議会では、参加反対・慎重な対応を求める意見書に賛成するという態度をとっています。みんなの党も、渡辺代表の地元・栃木県議会の9日の農林環境委員会で、TPP参加断固阻止を求めた陳情の採択に賛成しました。

 しかし一方で、富山県では昨年11月県議会で、TPP交渉に参加しないよう求めた意見書に民主党などが反対しました。青森、滋賀などの県議会でも、民主党はTPP参加反対の意見書に反対しています。

 志位和夫委員長は5日の札幌での記者会見で「いっせい地方選挙での政党選択という点では、TPP参加反対をきっぱり掲げている日本共産党を伸ばしてこそ、一番確かな力となることを大いに訴えていきたい」と語りました。





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