2011年3月12日(土)「しんぶん赤旗」
要支援切り下げ狙う
介護保険 改定案を閣議決定
政府は11日、介護保険関連法改定案を閣議決定しました。市町村の判断で要支援者へのサービスを切り下げ、給付費を削減できる新たな仕組みの創設を盛り込みました。
現在、要介護認定で「要支援」とされた人には保険給付として訪問・通所介護などのサービス(予防給付)を受ける権利があります。改定法案は、要支援者を市町村の判断で予防給付の対象から外し、新設する「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)の対象に移すことができる仕組みを盛り込みました。
「総合事業」では、訪問・通所サービス、配食、見守りなどを行います。介護保険財政から上限つきで財源が出ますが、サービス水準について予防給付のような全国一律の基準がなく、市町村の裁量による切り下げが可能になります。利用料も予防給付では原則1割負担ですが、「総合事業」では市町村に任されるため、大幅に値上がりする恐れがあります。要支援者への予防給付を、行政にとって安上がりな「総合事業」に置き換え、給付費を削減する仕組みです。
改定法案ではまた、長期療養患者が入院する介護療養病床の廃止期限を、2011年度末から17年度末に6年延長することを定めます。世論と運動に押されて期限どおりの廃止が困難になった現状を追認するものの、介護療養病床の新設は認めず、あくまで廃止に固執する姿勢です。
24時間対応の巡回型訪問サービスの創設や、介護職員によるたん吸引などの医療行為の解禁、特別養護老人ホームの設置を社会医療法人に認めることなども盛り込みました。
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