2011年3月23日(水)「しんぶん赤旗」
酪農つづけたい
突然の牛乳出荷停止
福島 放射線被害に不安の声
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規制値以上の放射線検知で福島県産牛乳が出荷停止を指示された翌日の22日、同県の酪農家の間では不安と、廃業を危惧する声が上がりました。
川俣町の酪農家の女性(64)は「福島市内の水道水が復旧に向かい、乳業会社工場のラインも間もなく回復するだろうと、話し合っていた矢先の出荷停止指示。怒りでいっぱいです」と語ります。出荷できなくても、牛にえさを与え、搾った乳を処理しなければなりません。
後継ぎの息子(38)を中心に、夫(64)と3人で、乳牛30頭(うち搾乳牛17頭)を飼い、月約130万円を売り上げてきました。支出はえさ代だけで月45万円です。
牛乳代の支払いは毎月25日で、今回は前月の2月分が払われますが、来月以降の支払いは地震前に出荷した分だけになります。
女性は、「これでは、酪農をつづけられなくなります。東京電力と国の補償が当然だし、それを担保にした無利子のつなぎ資金を急いでほしい」と語ります。
福島市佐原で酪農を営む男性(70)は、家族とともに自分の牧場の生乳を製品化した「ささき牛乳」を同市内で宅配しています。年間売り上げは約2800万円。しかし、これからは販売できなくなり、牛乳は処分しなければなりません。
「酪農家の経済的救済は緊急課題です。同時に、放射線のサンプリング調査を牛乳も継続してやってほしい。放射線汚染をクリアして酪農をつづけたい」と語りました。 (福島県・野崎勇雄)
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