2011年3月25日(金)「しんぶん赤旗」

国の総力をあげて被災地復興

福祉・防災に強い新しい日本を

東京・新宿 志位委員長が訴え


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=24日、新宿駅西口

 日本共産党の志位和夫委員長は、24日の東京都知事選での第一声で大震災の犠牲者への深い哀悼と被災者へのお見舞いをのべるとともに、国難ともいうべき未曽有の大災害のもとで始まった今回の選挙で、この国難にどう立ち向かい、打開するか、四つの点を訴えました。

第一、いま目の前にある危機 を打開する

 第一は、いま目の前にある危機を打開することです。

 志位氏は、「被災者救援、福島原発事故の危機回避のために、政治的立場の違いを超えて、総力をあげた取り組みを行いましょう」と呼びかけました。

 被災者が避難所で命を落とすという、痛ましい二次災害を防ぐことは緊急の課題だと強調。党としても民主団体と共同して被災地近県から支援物資の輸送を開始しているとのべ、全国でできる支援の最大の手段として救援募金への協力を呼びかけました。

 原発危機回避では、専門家・技術者の知恵と能力、日本の科学・技術の力のすべてを総結集し、あらゆる手だてをとることを政府に引き続き強く求めていくと表明しました。

 原発事故から国民の命と健康を守ることも大仕事です。

 志位氏は、都内の水道水から放射性物質が検出された問題では、日本共産党都議団が求めた乳児のいる家庭へのペットボトル水配布が始まったことを紹介し、▽国が責任をもって放射能の影響が出ている地域に安全な水を確保すること▽政府が正確な情報を提供すること――を提起。「情報を、素早く、正確に、丁寧に、国民に伝えてこそ、安易な楽観視も、過剰な危惧も抑え、冷静な行動が可能になります」と力説しました。

第二、戦後未曽有の災害からの復興に国の総力をあげて取り組む

 第二は、戦後未曽有の災害からの復興に国の総力をあげて取り組むことです。

 志位氏は、「大地震がもたらした大災害からの復興には、それを上回る国民のエネルギーが求められています」と強調。「生活再建、地域社会の再建こそ、復興の土台」という立場で国をあげての国家的プロジェクトで復興に取り組もうと呼びかけました。

 家を失った被災者への個人補償の抜本的拡充が必要だと指摘。阪神・淡路大震災を契機に、「住宅は個人財産だから個人補償はしない」という国の壁を破り、被災者生活支援法がつくられたが、全壊でも300万円の支給にとどまっているとのべ、大幅に引き上げるよう求めてたたかう決意を表明しました。

 自治体への十分な財政支援や農林漁業・中小企業への従来の枠組みを超えた支援と補償が必要と訴えました。

 復興の財源については、来年度予算を抜本的に組み替える大型補正を提案。2兆円に及ぶ大企業・大資産家への減税、米軍への「思いやり予算」、政党助成金などは中止・撤廃し、「復興のための予算に」と訴えると、力強い拍手と「そうだ」の声が響きました。

 大企業は244兆円に及ぶ内部留保をもち、手元資金だけでも64兆円にのぼります。志位氏は、政府が新たに「震災復興国債」を発行し、大企業に引き受けるよう要請すべきだと提案。「大企業の巨額の内部留保を、いまこそ、被災地復興、日本復興のために役立てるときです」と訴えると、大きな拍手がわきおこりました。

 その上で、「首都の力を総動員して被災地復興にあたる」と表明している人が知事になり、「首都の力が、国の力と合わさって被災地を救う力になれば、国民的な規模での復興が進み、新しい東京・日本をつくる道を開くことにもなります」と支持を訴えました。

第三、原子力行政、エネルギー政策の抜本的な転換

 第三は、原子力行政、エネルギー政策の抜本的な転換です。

 「多くの都民が『原発は怖い』と肌身で感じるとともに、『エネルギーをどうしたらいいか』について真剣に考えておられると思います」と語りかけた志位氏は、まず安全最優先の原子力行政への転換を訴えました。

 日本の原子力行政の最大の問題は「安全神話」にあります。アメリカではスリーマイル島原発事故で「原子力は安全だという思い込みがあった」と反省し、「原子力は本来的に危険」という考えに切り替える教訓を引き出したと紹介しました。志位氏は、いまやこれが世界共通の認識だとのべ、日本でも「安全神話」を一掃し、安全確保に万全の体制をとる正直で科学的な原子力行政に転換を求めていこうと力説しました。

 その上で、全国の原発の総点検、14基の原発新増設計画の中止、東海地震の想定震源域にある浜岡原発の永久停止、プルトニウム利用の核燃料サイクル政策の中止を提起。原子力の推進機関から分離した、強力な権限と体制をもつ規制機関をただちにつくるべきだと訴えました。

 さらに、ドイツでは2050年には発電量の80%を再生可能エネルギーでまかなおうとしていると紹介し、日本も原発依存から抜け出し、自然エネルギーへの戦略的な転換を決断すべきだと訴えました。

第四、「福祉・防災都市東京」への転換を

 第四は、「福祉・防災都市 東京」への転換をはかることです。

 志位氏は、「住民の福祉を守る」という自治体の原点と、「災害から命を守る」という自治体の責務とは一体のものと強調。

 その上で、石原都政の12年は、「何がぜいたくかといえばまず福祉」という言葉からはじまり、高齢者福祉をはじめあらゆる分野での福祉切り捨ての12年だったとのべるとともに、「この12年は『災害から命を守る』という点でも、大きな後退の12年でした」と批判しました。

 かつて革新都政は、「震災予防条例」を制定し、「地震は避けがたい自然災害だが、震災の大部分は人災であり、人間の英知と技術と努力で、被害を最小限に食い止める」ことができるとして、震災予防のために都政が責任を果たすことを決めました。ところが、石原都政はそれを「震災対策条例」に改悪し、「まず第一に『自らの生命は自らが守る』という自己責任原則」を唱え、都の震災対策予算を大幅に削減しました。

 志位氏が、「福祉を『ぜいたく』と攻撃し『自己責任』を押し付ける政治は、災害にあっても『自己責任』で身を守れという政治と、同じ根っこでつながっています。この考えが、『津波は天罰』という許しがたい発言の土台にあるのではないか」と厳しく批判すると、聴衆から、「そうだ」の声と大きな拍手がわきおこりました。





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