2011年3月26日(土)「しんぶん赤旗」
水俣病訴訟が和解
熊本地裁 「対象地域外」含め救済
熊本・鹿児島両県の水俣病の未認定被害者が、国、熊本県、加害企業チッソに損害賠償などを求めた「ノーモア・ミナマタ訴訟」の和解協議が25日、熊本地裁(原克也裁判長)で開かれ、和解が成立しました。
和解は、これまでの「救済対象地域外」の原告も含め▽チッソが、原告、被告双方が選出した医師らでつくる「第三者委員会」で認定された原告に1人につき210万円の一時金を支払う▽国と県は療養手当(月額1万2900〜1万7700円)と医療費の自己負担分を支払う▽原告団に対し団体加算金34億5千万円を支払う▽原告はチッソに補償を求める新たな訴訟などは行わない―です。これにより原告の約9割が救済の対象となります。
同訴訟は、国の基準より救済範囲を拡大した水俣病関西訴訟での最高裁判決を受け、水俣病不知火患者会の第1陣50人が提訴し、追加提訴を重ねました。昨年3月に熊本地裁が和解所見を提示。9回の和解協議の後、原告団は21日の総会で和解方針を承認しました。
和解成立後、大石利生原告団長は「和解は皆さんとともにたたかってきた成果です。これから全ての被害者救済に向けて頑張りましょう」と語りました。原告・弁護団は、チッソによる責任逃れを許さないため監視を続け「今後も『すべての水俣病救済』のためにたたかい続ける」との声明を発表しました。