2011年3月30日(水)「しんぶん赤旗」
震災・原発 農作物被害 証拠残そう
農民連がよびかけ
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福島原子力発電所の放射能汚染による農作物被害が深刻になるなかで、農民連(農民運動全国連合会)は、「万全な被害補償のために証明書類を残そう」と農家に呼びかけています。
放射性物質の暫定基準を超えて出荷自粛を国から要請されたホウレンソウやカキナなどの葉物野菜だけでなく、レンコンなど根物野菜も“危険ではないのか”との根拠のない理由でスーパーや卸売市場が拒否し、価格暴落が生まれています。福島県では酪農家も原乳の廃棄が続いています。
証明書類は、今年と通常年との差額が客観的に分かるものや農業資材など必要経費を明らかにする書類です。
たとえば、出荷数量は返品された野菜の数量だけでなく、出荷自粛を迫られた作物や風評被害によって出荷できなくなった数量も記入します。作付面積も野菜の種子購入量によって分かります。
販売価格は、昨年との差額を記入します。産直や直売農産物なども差額を明確にします。農民連は、記帳運動によって農民を励まし、損害賠償運動を広げることにしています。
このとりくみは茨城農民連の経験を生かしたものです。1999年9月に茨城県東海村で株式会社「JCO」によるウラン溶液の臨界事故(核分裂連鎖反応)による放射能汚染の風評被害が発生しました。同県連の村田深事務局長は、「当時は補償請求のやり方がわからず資料がなく、補償を受けられない農家が多かった。今回は明確な記録を残して万全な補償を迫ろうということになった」と、背景を説明します。
農民連では各県組織にたいし、「今回の被害は、風評被害を含めて、生産者には何の落ち度もありません」と強調する通達を送付。「被害の全額は、重大な過失があった東京電力が補償するべきものであり、それが不十分な場合には、国の責任において払うべきもの」と訴えています。
東京電力による損害補償は長期にわたることが想定されるとし、当面必要とする生活資金や営農資金も国が無条件・無利子で貸し付けるように求めています。
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