2011年4月2日(土)「しんぶん赤旗」

「福祉・防災のまちづくり」へ

被災地支援・復興、原子力行政転換を

志位委員長が訴え


 「国難」ともいうべき大震災のもとでの今回の選挙。日本共産党の志位和夫委員長は1日に千葉、大阪で行った訴えで、この間、自ら被災地を訪問し、自治体首長や避難住民から聞いた切実な声を踏まえて菅直人首相と会談(3月31日)し提言したことにも触れながら、国難打開に向けて4点を訴えました。


みんなの力で目の前の危機打開を

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(写真)志位和夫委員長の訴えを聞く人たち=1日、千葉県柏市の柏駅東口

 第一は、いま目の前にある危機をみんなの力で打開することです。

 急務となっている避難所での二次災害を防ぐ問題では、燃料、水、食料、医薬品、ケアスタッフを被災者のもとに届けることや、公営住宅・民間住宅の借り上げなどによる安定した避難所の確保、希望者全員が入居できる仮設住宅の速やかな建設の必要性を強調。党に寄せられた救援募金2億6800万円を被災自治体に届けたことも紹介し、さらなる募金への協力を呼びかけました。

 福島原発の危機収束の問題では、首相との会談で「どういう戦略でのぞみ、見通しを持っているのかを、国民に説明すべきだ」と提起したところ、「現段階では見通しを示せる状況ではない」としつつ、「国際的にもオープンな対応をしていく」と答えたことを紹介しました。そのうえで、「原発事故の現状について情報の全面開示が必要です。すべてをオープンにしてこそ、世界中の英知を結集できるのではないでしょうか。そのことを政府に強く求めていきます」と述べると、大きな拍手が起きました。

 情報・データの開示は、放射能汚染の問題でも重要です。日本学術会議が「不安感は、情報が的確に伝達されていないことに起因」としていること、志位氏が面談した福島県飯舘村の村長が“生きた情報”を切望したことも示し、「情報を、すばやく、正確に、丁寧に、国民に伝えてこそ、安易な楽観視も、過剰な危惧も抑え、風評被害もなくせるのではないでしょうか」と強調しました。

 志位氏が「目の前の二つの危機を打開し、命を守るため、政治的立場の違いを超えて力をあわせよう」と訴えると、聴衆から「がんばるぞ」の声があがりました。

復興財源提起に首相も「検討」「研究」表明

 第二は、震災からの復興に、国の総力を挙げて取り組むことです。

 志位氏は、「生活再建、地域社会の再建がはかられてこそ、はじめて復興といえる」とし、文字通りの国家的プロジェクトとして復興をやり抜こうと力説しました。

 とくに家を失った被災者への個人補償の抜本的な拡充を強調。菅首相との会談で、被災者生活支援法における支給額、全壊300万円を引き上げるよう求めたところ、「私も引き上げが必要だと思う」と述べたことを紹介すると聴衆に笑顔が。「みなさん、抜本的な引き上げに力を合わせようではありませんか」と訴えると、大きな拍手が応えました。

 では、復興の財源はどうするか。志位氏は、この問題で首相との会談で、予算の大幅補正が必要だと提起したことを紹介。具体的には2兆円にのぼる大企業・大資産家減税の中止、米軍への「思いやり予算」の廃止、不要不急の大型公共事業の中止、政党助成金の撤廃などを提起。さらに244兆円もの大企業の内部留保について、大企業に「震災復興国債」を引き受けさせることで活用することを提案したと述べました。

 志位氏は、首相が大企業減税について「見直しを含めて検討したい」とし、内部留保活用では「初めての提案なのでよく研究させていただきたい」と答えたことを報告。「研究してしっかり取り入れてもらう、そのためにみなさんの後押しを」と呼びかけると、「よし」「いいぞ共産党!」の声援と大きな拍手が起こりました。

原発問題―科学の立場で国民の命を守る党

 第三は、原子力行政、エネルギー政策の大転換をおこなうことです。

 志位氏は、日本の原子力政策の最大の問題は「安全神話」であり、「原子力は安全だから心配ない」と宣伝すると、自分もこの「神話」にとらわれて安全対策を手抜きにすると指摘しました。

 この点で志位氏は、首相に「安全神話」を一掃し、全国の原発を総点検すること、政府による14基の原発新増設計画を中止するよう求めたことを紹介。首相が「総点検をおこなう。新増設は白紙を含めて見直しを検討したい」と答え、各紙がそのことを大きく報じたことを報告すると、「ほーっ」のどよめきが起こりました。

 さらに志位氏は「日本の原子力行政にはアクセルばかりでブレーキがない」と力説。米国の原子力規制委員会のような、独立し強力な権限と体制をもった機関をつくるよう首相に求めたのに対し、「重大な反省が必要。指摘を受け止めあり方を検討したい」と述べたことを報告しました。

 そのうえで、ドイツでは現在16%の再生可能エネルギーを2050年には80%まで引き上げることを検討していることを示し、「ドイツでできて日本でできない道理はない」と述べ、原発依存から抜け出し、自然エネルギーへの戦略的転換をすべきだと訴えると、「その通り」の歓声と大きな拍手が起こりました。

 この問題では、社会の仕組みの転換も必要だと志位氏。「長時間労働をやめさせ、一家だんらんで人間らしい生活になれば低エネルギーになります。こういう社会もご一緒につくっていこうではありませんか」と呼びかけました。

 志位氏は、原発問題でのこれらの主張は、今回の大震災後ににわかに言い出したことではなく、日本共産党が国会などで三十数年前から一貫して主張してきたことだと強調。「科学の立場で国民の命を守る党、それが日本共産党です」と訴えると、大歓声が響きました。

福祉と防災にこそ大切な税金を使わせよう

 第四は、日本共産党の勝利で「福祉・防災のまちづくり」へ転換することです。

 志位氏は、「『住民の福祉を守る』という自治体の原点と、『災害から住民の命を守る』という自治体の責務、この二つは根っこのところでつながっている」と指摘。学校、公共施設、住宅などの耐震化をおこなうと同時に、日常普段から医療、介護、福祉、子育て基盤などの強いネットワークがあってこそ、災害時にも住民の命を守れると強調しました。

 その点で千葉県政はどうか。日本共産党以外は知事に何でも賛成の「オール与党」県政のもと、財政力は全国5位なのに、民生費は47位、老人福祉費も47位、児童福祉費も47位と最悪となっている一方で、圏央道・北千葉道路などの巨大道路に4100億円、つくばエクスプレス沿線開発に2000億円を支出する実態を告発しました。

 「この逆立ちした姿勢が防災対策にもあらわれている」と強調した志位氏は、09年に策定された「県地域防災計画」では、「自らの命は自ら守る」ことが「県民の責務」とされていることを指摘。「『自己責任』の名で福祉を切り捨てて恥じない政治と、災害の時まで『自己責任』で行政の責任を放棄する政治は同じ根っこです。これを大本から変えようではありませんか」と訴えると、「そうだ」の声と割れるような拍手が起きました。

 志位氏が最後に、「巨大開発をやめ、福祉と防災にこそ大切な税金を使わせようではありませんか。みんなが安心して暮らせる『福祉・防災のまちづくり』をすすめましょう」と訴えると、聴衆はひときわ大きな歓声と拍手で応えました。





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