2011年4月7日(木)「しんぶん赤旗」

コウナゴ漁打撃 怒る漁民

東電の汚染水流出 茨城


 東京電力福島原発事故による放射能汚染は海まで及び、茨城県北茨城市沖で採取した小魚「コウナゴ」から基準値以上のセシウムが検出されました。休漁を余儀なくされた同市内の漁業者からは6日、風評被害への戸惑いや東電への怒りの言葉が相次ぎました。


 午前9時。福島県いわき市に隣接する平潟港は、漁に出られない漁船がズラリと停泊していました。コウナゴ漁をする男性(54)は、悔しそうにいいます。「踏んだりけったりです。3月12日から収入ゼロ。1日漁に出れば20万円から40万円になるのに、大損害。あと2、3カ月(休漁)したら廃業に追い込まれちゃう」

 コウナゴ漁は、3月から解禁になり4月が本番です。山田さんらが心配するのは、5月からのウニやアワビなど、ほかの漁への影響です。「採っても、売れないかな」

 同市には、平潟漁協(組合員数107人)以外に大津漁協(組合員数119人)がありますが、津波による被害は対照的でした。

 大津港は、防波堤も岸壁も壊れ、被災した船は47隻と甚大でした。

 一方、平潟漁協は、港も無事で、被災船が4隻。太平洋側で、わずかに残った漁業基地です。漁業復興の狼煙(のろし)をここから上げようと、組合あげて準備してきました。それだけに、休漁は大きな打撃です。

 平潟漁協の武子(たけし)寛組合長は怒ります。「東電は汚染水を海に流すことをちゃんと事前に説明すべきだ。われわれはその影響を受ける最前線なんです」

 武子氏は、ほかの魚も出荷が東京・築地から拒否されたことを打ち明けました。「茨城というだけで売れないというのは風評被害そのものです」

 平潟漁協では、5日未明出漁させた底びき網4隻を急きょ「燃料代がムダになる」と無線で帰港させました。

 「このままでは限界集落になってしまいますよ。東電は、何の対応もしない。誠実さがない」 (阿部活士)

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