2011年4月9日(土)「しんぶん赤旗」

従来枠でない復興計画を

震災の漁業被害 全漁連など国に要望


 JF全漁連(全国漁業協同組合連合会)、大日本水産会など漁業団体は、東日本大震災で大きな打撃を受けた漁業の復興に向けた国への緊急要望をまとめ、このほど政府に提出しました。

 4日、鹿野道彦農水相、仙谷由人官房副長官らに要望書を手渡した服部郁弘・全漁連会長は、「いまだに政府からは『任せておけ、必ず復興させるから』という趣旨のメッセージがない。漁業者は一日も早く海に出たがっている。この熱意があるうちに海に出られるようにしてほしい。漁船と漁具さえあれば、漁師は何とかなる」(日刊水産経済新聞)と訴えました。

 要望書では、「従来の枠組みにとらわれない」復興計画の策定を求めるとともに、9項目にわたる緊急対策を要求。国が十分な予算措置をとるよう強調しました。

 緊急対策では、漁場海底の障害物を国が調査、撤去し、藻場、魚礁を回復すること、漁港をはじめインフラ整備を国の全額負担で行うことを求めました。

 漁船、漁具を失った漁民が膨大な数にのぼることから、漁船などの共同利用体制を国が支援することや、国による助成事業を活用した漁船の建造促進を提言。共同定置網を激甚災害法の対象とすること、養殖業の復興・再生も挙げました。

 共同経営、漁協自営方式による復興への支援、流通・加工施設の再建の重要性も指摘しました。金融・保険については、漁業共済・漁船保険の早期、円滑な支払い、無利子・無担保・無保証人の復興融資、災害を原因とする債務超過への対応などを要請しました。

 被災漁民の雇用対策では、復旧・復興事業で雇用することや、他地域で就業を希望する人への支援を提起しました。

 水産庁は5日、水産業者による具体的復興計画づくりを支援するチームを立ち上げました。要望があれば現地に職員を派遣するといいます。





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