2011年4月25日(月)「しんぶん赤旗」

底なし 米軍訓練移転費

日本側負担227億円に


 在日米軍駐留経費負担に関する特別協定に基づき日本政府が負担してきた米軍訓練の移転経費が、予算総額で約227億円(2010年度まで)、実際に支払ってきた実績額で約153億円(09年度まで)に達していることが分かりました(表)。防衛省が日本共産党の笠井亮衆院議員に提出した資料によるものです。


 日本政府が経費負担をしてきた米軍訓練の移転は、(1)米空母艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)の硫黄島への移転(2)沖縄の米海兵隊砲兵部隊による県道104号線越え実弾砲撃演習の本土への移転(3)米軍特殊部隊などのパラシュート降下訓練の伊江島(沖縄県)への移転(4)米空軍嘉手納基地(同)の米軍機による訓練の本土への移転など―四つに分けられます。

 ▼(1)の経費負担は米軍「思いやり」予算の一部として96年度から始まり、予算総額で約63億円、実績額は約43億円(予算総額は10年度までで、実績額は09年度まで。以下同じ)

 ▼(2)と(3)は沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)経費の一部としてそれぞれ97年度と2000年度から始まり、予算総額は計約135億円、実績額は計100億円

 ▼(4)は米軍再編経費の一部として06年度から始まり、予算総額は約29億円、実績額は約10億円―となっています。

 いずれの訓練移転も地元の「基地負担軽減」が口実でした。しかし、嘉手納基地では外来機による訓練が激しくなるなど逆に負担増になりました。また、実弾砲撃訓練のように、移転先でも訓練が質・量とも拡大・強化されました。「負担軽減」とは名ばかりです。

 今月1日に発効した在日米軍駐留経費負担に関する新たな特別協定は、米軍訓練の移転先を日本国内だけでなく、「米国の施政の下における領域」にまで拡大。具体的な移転先も特定せず、日本政府が無限定に移転経費を負担することになっています。

 政府は、新協定の締結にあたり、「思いやり」予算を現在の水準で維持するとしています。目安とされる2010年度の「思いやり」予算の総額は1881億円で、うちNLP移転費は5億円です。

 しかし、「思いやり」予算ではなく、米軍再編経費などとして計上されているNLP以外の訓練移転費については制約がありません。

 とりわけ、米軍機の訓練移転では、米領グアムなど「米国施政下の領域」での実施が日米間で合意(今年1月)され、今後、回数など具体的な内容を調整するとしており、米側の要求のままに日本側の負担が膨れ上がる危険があります。

表




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