2011年4月29日(金)「しんぶん赤旗」
震災復興財源
大企業などの内部留保で
4.7%で15兆円生まれる
東日本大震災の復興財源は、中堅・大企業が内部留保を4・7%活用するだけで、想定される復興財源15兆円を確保できる―労働運動の発展をめざして調査研究・政策立案をすすめている労働運動総合研究所(労働総研)が28日までに、こんな試算を発表しました。
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労働総研試算
労働総研は、民間シンクタンクが発表した被害推計から、復興財源を15兆円と想定。東京都内で会見した藤田宏事務局次長は、「資本金1億円以上、3万3355社の企業がもつ内部留保317兆円のうち4・7%を活用して、無利子の復興国債を引き受ければ、15兆円を確保できる」と指摘しました。
同研究所の調査によれば、中堅・大企業の内部留保は1999年度の189・7兆円から、2009年度の317・6兆円へと、127・9兆円も積み増しされています。
現金や現金化可能な有価証券など換金性資産だけでも、07年度の83兆円から09年度の99兆円へと、2年間で16兆円増やしています。復興国債を引き受けるための15兆円は、2年間の積み増し分を活用するだけでまかなうことができます。
藤田氏は、「中堅・大企業が復興国債を引き受けても経営に響きません。大企業は、試験研究費税額控除やIT投資税額控除など税制優遇策を長年にわたって受けてきており、国難というべき震災の復興に社会的役割を果たすべきでしょう」と語りました。
労働総研は、内部留保の活用で復興をすすめた場合、国内生産誘発額が26・5兆円、付加価値誘発額が13・2兆円となり、日本の経済成長率を2・6%押し上げると試算。企業にとっても経済波及効果を享受でき、損はないとしています。
消費税増税で財源をまかなうという意見に対しては、ただでさえ苦しい国民の家計に過重な負担を強いて消費を落ち込ませ、復興を停滞させる愚策だと指摘しています。
復興政策の柱として、▽すべての被災者・失業者の生活と住居の保障▽国や自治体など公的責任による雇用創出▽住民と自治体参加による復興計画の策定と住民本位の行政体制の再確立▽農漁業や地場産業・中小企業復興、「安心の街づくり」などへの公的支援―を提案しました。