2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮問題解決 転機なるか

訪朝のカーター氏に金総書記メッセージ

「南北会談の用意」


 北朝鮮を訪問した米国のカーター元大統領は28日、金正日(キム・ジョンイル)労働党総書記の「南北首脳会談の用意がある」というメッセージを明らかにしました。北朝鮮核問題の解決に向け、転機となるのか注目されます。(中村圭吾)


 カーター氏は欧州の元首脳らとともに26日に平壌入りし、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長や朴宜春(パク・ウィチュン)外相と会談しました。

 金総書記からのメッセージは、カーター氏が平壌を離れる直前に伝えられ、「李明博(イ・ミョンバク)大統領といつでもどこでも会い、いかなる問題も協議する用意がある」(カーター氏)というものだったといいます。金総書記はまた「(核問題をめぐる)6カ国協議参加国と前提条件なしで対話する意向」(同)も伝えました。

 6カ国協議は2008年12月の首席代表会合を最後に開かれておらず、この間、北朝鮮は核兵器開発を続けてきました。09年4月には、北朝鮮の「ロケット」発射に対する国連安保理の制裁決議に抗議し、同協議からの離脱を表明。同年5月に2度目の核実験を強行しました。10年11月には、大規模なウラン濃縮施設の存在も公表しました。

 6カ国協議の議長国・中国は、協議の早期再開を関係国に働きかけてきました。武大偉・朝鮮半島問題特別代表は今月26日、同協議の韓国首席代表を務める魏聖洛(ウィ・ソンラク)外交通商省朝鮮半島平和交渉本部長と会談。▽南北間の会談▽米朝対話▽6カ国協議―の「3段階」案の推進で一致しました。

 カーター氏の訪朝を契機に南北会談が実現すれば、6カ国協議の再開に向け、一歩前進することになります。

 しかし、韓国内では、南北会談の前提として、韓国哨戒艦沈没事件(10年3月)と延坪島砲撃事件(同年11月)に対する謝罪を北朝鮮に求める声が根強く、会談が実現するかは不透明です。カーター氏によると、北朝鮮は両事件について、人命が失われたことに「遺憾の意」を述べる一方、謝罪はせず、事件との関係も認めなかったといいます。

 韓国メディアの報道によると、玄仁沢(ヒョン・インテク)統一相は28日、金総書記のメッセージについて「心から対話しようという姿勢ではない」と表明。「韓国側が対話を拒絶しようとしているような雰囲気をつくるためのジェスチャーだ」と述べました。





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