2011年5月19日(木)「しんぶん赤旗」
漁業復興へ希望を
宮城県の「水産特区」に異議
企業参入 「浜の絆を壊す」
県漁協、党本部を訪問
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宮城県漁業協同組合の幹部は18日、日本共産党本部を訪問し、8日に志位和夫委員長らが義援金を渡したことへのお礼をのべるとともに、宮城県が進めようとしている「水産業復興特区」の問題点について切々と訴えました。小池晃政策委員長らが応対しました。
同県漁協は、今回の災害で漁船の9割以上を失いましたが、85%もの組合員が漁業を再開したいと願っています。ところが村井嘉浩県知事が打ち出したのは、大企業が漁業権を獲得しやすくするための「特区」構想でした。県漁協は13日、「民間企業は利潤追求が第一義であって、これに合致しなければ必ず撤退する」などの理由から、「水産業復興特区」の撤回を求めて村井知事に要望書を提出しています。
党本部を訪れた県漁協の船渡隆平専務理事は、「企業が参入して漁師をサラリーマン化させるなんてとんでもない。こればかりは(信念を)曲げるわけにはいかない」と強い口調で語りました。
阿部力太郎理事長は、大手の水産会社が営利目的でクロマグロなどの輸入と乱獲を進めたことで「(魚を取れなくなって)撤退せざるをえなくなった」と指摘。漁獲量を調整・管理しながら漁業を営んできた漁協の役割を語ったうえで、「先祖代々築き上げた漁労文化を守るためにも、浜(漁師)の絆を壊す(特区の)やり方は問題だ」とのべました。
また、船渡専務理事は、「2次補正予算案の提出が先送りされたら、漁業再開に向けた将来の展望が見えない」と訴えました。
小池政策委員長は、志位委員長が菅首相に対し、水産業の基盤回復のための抜本的な公的支援や、漁協などの要望を反映した復興計画づくりを提言した17日の会談内容を紹介。「上からの復興を押し付けるやり方は許されない。復興への希望が持てる具体的な手だてをはかり、2次補正予算案の提出も急ぐべきです」と語りました。
日本共産党からは、高橋ちづ子衆院議員(東日本大震災現地対策本部長)と寺沢亜志也政策委員会事務局長も同席しました。