2011年5月23日(月)「しんぶん赤旗」
核兵器維持へ米新実験
高温高圧「爆発と近い状態」
【ワシントン=小林俊哉】米エネルギー省の核安全保障局(NNSA)は21日までに、保有核兵器の安全性と有効性を維持するために、高温高圧下でプルトニウムを使用した新実験を行ったと発表しました。核兵器が爆発したときと近い状態を作り出したものです。
同実験は、昨年11月と今年3月に実施されました。核爆発を伴わないため、クック同局副局長は「地下核実験を実施せずに、核兵器の安全性と有効性を維持するというオバマ政権の方針の実践だ」と説明しています。
同実験は、ニューメキシコ州アルバカーキのサンディア国立研究所内にある特殊装置を使用し、強力なエックス線を出させ、核爆発によって引き起こされる状況と類似した条件を小規模に発生させるものとされます。核兵器の原料となるプルトニウムの反応を調べました。実験は2度とも成功しました。
核爆発を伴わない点では、未臨界核実験と同じですが、火薬も使わなくてよいという特徴があります。収集されたデータは核兵器の維持・管理に利用されるといいます。
オバマ政権は、米上院に対し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准を促しています。とくに、米国の核兵器維持のために新たな核爆発を伴う実験は不要だとして、“理解”を求めていますが、新たな核兵器開発の懸念も出ています。