2011年6月2日(木)「しんぶん赤旗」
2030年予想 飢餓警告
食料価格 2倍化も
気候変動が影響
世界の食料価格が今後20年で2倍近くに上昇し、世界的な飢餓がいっそう深刻になりかねない―。国際支援団体オックスファム(事務局・英国)が、そう警告する報告書を5月31日、発表しました。
報告書は、今後世界の主要食料が2030年には現在と比べ70〜90%上昇すると予測。気候変動による影響を加えると、120%〜180%上昇すると推計しました。(グラフ)
価格上昇の背景として、報告書は50年までに世界人口が90億人に達し、食料需要が70%増加すると指摘。にもかかわらず、食料生産の大きな伸びは期待できず、今後10年間でもわずか1%にとどまると予測しています。その上、投機資本の流入がいっそうの価格上昇をもたらしていることも指摘しています。
世界では、現在でも10億人近くが飢えで苦しんでいます。
オックスファムのジェレミー・ホッブス事務局長は、全人類に必要な食料を生産する能力がある今も、こうした飢餓の実態があると指摘。今後、気候変動がますます深刻になり、肥沃(ひよく)な土地や新鮮な水の供給が困難になることから、必要な対策をとらない限り、さらに数百万人が飢えに落ち込むことになると警告しました。
「成長しつつある、より良い未来」と題した、今回の報告書は「もう一つの未来は可能だ」とも強調。今年11月の20カ国・地域(G20)首脳会議で投機資本規制などの対策をとることや、気候変動に適応可能な農業への転換をはかる投資拡大などを提案しています。
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