2011年6月21日(火)「しんぶん赤旗」

震災復興基本法案に対する

山下議員の反対討論

参院復興特


 日本共産党の山下芳生議員が、参院東日本大震災復興特別委員会で行った、東日本大震災復興基本法案に対する反対討論は以下の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、東日本大震災復興基本法案に対し反対討論を行います。

 わが党は、衆参両院での審議を通じ、復興の基本は被災者が主役であり、上からの押し付けであってはならないこと、地震、津波、原発事故で破壊された被災者の生活基盤の再建こそ、復興の土台であるべきことを繰り返し主張してきました。生活基盤の再建とは、一人ひとりの住まいと生業(なりわい)の再建であり、このことが地域社会と地域経済の復興を可能にするものだからです。

 以下、本法案の反対理由を述べます。

 第一に、法案はその基本理念において、一人ひとりの被災者の生活再建が復興の土台であるということが、あいまいにされているからです。

 法案には、「二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指」すことや、「国境を越えた社会経済活動の進展」など、「我が国が直面する課題」の「解決に資するための先導的施策が行われるべき」と記され、一人ひとりの生活再建は、農林水産業などの切り捨てにつながる、「新成長戦略」との整合性がとれる範囲に限定されるものになっています。

 「あるべき姿」や「先導的施策」が、農業や漁業の大規模集約化、民間企業参入のための規制緩和などが優先され、被災者の生活再建が置き去りにされてしまう懸念を生じさせます。 

 第二に、地方公共団体の「責務」について、地方公共団体は国の定める基本方針を踏まえ、復興施策を講ずるとされています。これでは被災自治体は、国の基本方針が決まるまでは本格的な復興を進めることはできず、また、被災地の実態よりも国の方針を優先しなければならないことになりかねません。復興施策について、上からの押し付けが可能になる仕組みを見過ごすわけにはいきません。

 第三に、総理の、いわば私的諮問会議である復興構想会議および同会議のこれまでの議論を法的に追認することになるからです。

 復興構想会議は、「復興への提言骨子」の中で、「基幹税の多角的検討」により復興財源を確保するとしています。法案には復興財源について「償還の道筋を明らかにする」こととされており、結果として、復興を口実とした消費税大増税に道を開くことになりかねません。

 最後に、原発事故の被害からの復興です。原発被災地域は、地震、津波による被災地域とは異なる深刻な事情があり、そのことを踏まえた特別な対策が必要です。しかし、法案では、原発事故の収束状況を勘案しつつとしながらも、原発事故がない被災地と同じ復興対策を規定しているにすぎず、極めて不十分です。

 なお、海江田経産相が、定期検査中の原発の運転再開を地元自治体に認めるよう要請する考えを示し、菅総理もそれを追認しましたが、立地自治体の首長から「根拠が不明」などと反発の声が上がっています。産業界からの要求をたてに、住民合意のない原発の運転を強行することは許されません。

 大震災からの復興の進め方は、計画は住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任とすることを大原則とすべきです。このことを強く求め反対討論を終わります。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp