2011年6月22日(水)「しんぶん赤旗」
「水産特区」撤回せよ
宮城県漁協が知事に迫る
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村井嘉浩宮城県知事が提起した養殖漁業への民間参入を促す「水産業復興特区」構想をめぐり、県漁協の木村稔会長ら役員らは21日、村井知事と意見交換し特区構想の撤回を求めました。県漁協役員や33ある漁協支所の運営委員長ら約60人が参加。漁協組合員から集めた撤回を求める署名1万3949人分を渡しました。
特区構想をめぐり、木村会長と村井知事が意見交換したのは5月13日に続き2回目。今回の議論も平行線をたどりました。木村会長は「漁業権行使の責任を負っている漁協に事前の説明がなかった。一方的な提案は、民主主義を基本とする法治国家であってはならない」と撤回を迫りました。村井知事は漁業者が高齢化、減少している現状を説明し「少ない投資で事業再開でき、若い人を採用できる」と理解を求めました。
各地から集まった漁協関係者もマイクを握り「浜のがれき撤去など、何もなくなった状況からはい上がろうと頑張っている。特区のために費やしている暇はない」「協業化など自分たちで工夫して、復興しようとしている。県はそれをサポートしてほしい。特区構想は、切磋琢磨(せっさたくま)して育ててきた若い後継者の意欲をなくす」と訴えました。
木村会長は意見交換後、「なぜ特区なのか納得できない。(経団連のシンクタンク日本経済調査協議会の)水産業改革高木委員会の提言そのままの丸写しだ。知事は自分の頭で考えて言っているわけではない」と批判しました。
一方、村井知事は記者会見で「撤回は考えていない。今後も漁協と話し合いを進めたい」と述べました。
水産業復興特区 漁業法が定める漁業権の優先順位を特区でなくし、漁業者と民間資本で設立した会社なども、第1順位の漁協と同等に漁業権が得られるようにする構想。村井嘉浩宮城県知事が、政府の復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)で提案しました。
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