2011年7月1日(金)「しんぶん赤旗」
富裕層増税で赤字削減
米大統領が表明
石油産業の優遇廃止も
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は29日、ホワイトハウスで記者会見し、財政赤字削減のために富裕層への増税は避けられないとし、反対する野党・共和党を強く批判しました。
オバマ政権は、ブッシュ前政権時代から続いている富裕層減税を廃止する方針を掲げています。また、ガソリン価格が高騰する中、収益を伸ばしている石油産業への優遇税制の廃止も掲げました。いずれも、共和党の反対で実現できていません。
オバマ氏は「私が提案しているのは、石油産業への減税の廃止、ジェット機を所有しているような重役、ヘッジファンド経営者、百万長者、億万長者への減税の廃止だ」と主張。富裕層減税を続けるなら、大学奨学金、医療研究への補助金、食の安全、高齢者向け医療保険(メディケア)などが切り捨ての対象となると強調し、「(政権の方針は)何も急進的なものではなく、米国人の大半が同意するものだ」と述べました。
また、連邦政府の債務が法律で定められた上限(約14兆3000億ドル)に達し、8月2日までに法定上限を引き上げなければ、債務不履行に陥る可能性が指摘されている問題で、「(8月2日は)なんとしても守るべき最終期限だ」と述べ、引き上げに反対している共和党に理解を求めました。
一方、アフガニスタン駐留米軍の撤退に関連し、首都カブールの高級ホテルで起きた反政府武装勢力タリバンによる爆弾テロ事件の影響について、「カブールは全体としてアフガン警察によって治安が維持されており、より安全になっている」と主張。「今後もこのような事件がある可能性は否定できないが、戦争はすでに引き潮であり、われわれは移行の段階に入っている」として、撤退過程を進める考えを示しました。