2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」
ビキニ事件から学ぶ
京都 内部ひばく考えるシンポ
「『ただちに健康に影響はない』を考えるシンポジウム ビキニ事件の真実と福島原発被災のいま―軽視される低レベル放射線内部被曝(ひばく)を考える」が3日、京都市内で開かれました。高知県太平洋核実験被災支援センター、非核の政府を求める京都の会など14団体の共催で、260人が参加しました。
1954年に起きたビキニ事件。太平洋のビキニ環礁でアメリカが水爆実験を行い、日本の漁船1000隻が被ばくしました。
4人のパネリストが報告しました。伊東英朗・南海放送ディレクターが制作したドキュメンタリー(同局で5月に放送)を上映。伊東さんは「『ただちに…』という言葉を聞くたびに、取材した方々の顔が浮かびます。福島原発事故の被害を最小限にするために何が必要なのか、ビキニ事件から学ばないといけない」と発言しました。
広島市立大学広島平和研究所講師の高橋博子さんは、米政府が内部被ばくについて研究しながら、その危険性を封印し続けてきた歴史を解説しました。
高知県太平洋核実験被災支援センター事務局長の山下正寿さんは、高知県ビキニ被災調査団の自主的な健康診断(1989年)によると、ビキニ事件で被災した漁船員47人のうち、全員が脱毛や嘔吐(おうと)などの病状があったことを話しました。
矢ケ崎克馬・琉球大学名誉教授は、放射性物質で汚染されたほこりを吸い込むことで、体内で放射線を発し続け、がんなどの晩発性の被害を引き起こす危険性があると説明。「生命にとって極めて危険な原発は、核兵器とともに、地球上から全廃を」と訴えました。