2011年7月7日(木)「しんぶん赤旗」

「水産特区」で浜の秩序壊すな

全漁連が緊急全国集会

志位委員長・紙参院議員が出席


 全国漁業協同組合連合会(全漁連)は6日、「水産特区構想」に異議を唱える緊急全国集会を東京都内で開き、参加者全員の拍手で「水産特区構想によって浜の秩序を崩壊させないために〜漁業者が一体となった復興を図るための決議」を採択しました。


写真

(写真)緊急全国漁業代表者集会で連帯のあいさつをする志位和夫委員長。右となりは服部郁弘全漁連会長=6日、東京都千代田区

 この日の集会は、「漁業者が一体となった復興を目指す緊急全国漁業代表者集会」と銘打たれ、北海道から宮崎まで、全国から230人が参加しました。政府の「東日本大震災復興構想会議」が6月25日に発表した提言のなかに「水産特区構想」を盛り込みました。決議は、「国は、地域の実態と意向を十分に把握し、漁業者の絆を分断させることなく一体になって」「復興にとりくめるよう、関係者間の調整・仲介に最大限の努力をおこなう」ことを求めています。

 宮城、岩手の県漁連会長が、反対の意見表明をすると「そうだ」の声や拍手がおき、集会は熱気にあふれました。日本共産党の志位和夫委員長が出席して、あいさつ(別項)、随所で大きな拍手が起きました。紙智子参院議員も出席。民主、自民、公明、社民の各党代表があいさつしました。

 服部郁弘会長は、「地域の意向を踏まえない強引な企業の参入は反対だ」と強調しました。また、復興会議の提言が「(特区の活用で)法人が漁協と劣後しないで漁業権を取得できる仕組みを実現する」としたことにたいし、「漁協が一元的に調整・管理している漁場で、二つの管理主体ができることになり、漁の操業の紛争は必至で、浜に混乱を招く」と批判しました。

 宮城県漁協の阿部力太郎会長が、「家や船、漁具を失った漁業者は避難生活を送りながら立ち直ろうとしている。その苦しい時期に、なにゆえ漁場を企業に与えることを可能にする水産特区をつくらなければならないのか」と訴えました。

 「われわれは三つの涙を流した」と話しだしたのは、岩手県漁連の大井誠治会長です。大津波で壊滅的打撃を受けた悲しみの涙、多くの励ましや支援をうけている感動の涙をあげたあと、「水産特区」構想による「不安と混乱を招く憤りの涙」に話をすすめ、「宮城県のみならず、全国の漁業の将来に大きな不安と混乱を与えかねない」と批判しました。

 服部会長と宮城、岩手両漁連会長は同日、決議をもとに復興相や各省に要請しました。


志位委員長のあいさつ 全文

  みなさん、こんにちは。紹介された日本共産党の志位和夫です。

 私は、大震災で亡くなられた方々に深い哀悼の気持ちをのべるとともに、水産業の復興のために尽力されているみなさんに心からの敬意と、熱い連帯の気持ちを申し上げます。

復興のために一体に頑張る漁業者に、希望がもてる支援を

 いま政府がやるべきことは何か。「水産特区構想」なるものを上から押し付けることではないと思います。復興のために一体となって頑張っておられる漁業者のみなさんにたいして、未来に希望がもてる支援に全力をあげる。ここに政治の使命があるのではないでしょうか。

 私たちは、岸壁と漁港の整備、市場の再建、製氷・冷凍・冷蔵・保管・加工・流通までの一体的な漁業基盤の復旧・復興を、国の責任で進めることを強く求めてまいります。

 被災漁業者のみなさんに「二重債務」の重荷を背負わせてはなりません。「マイナスではなく、せめてゼロからの再出発を」という願いにこたえるために、債務を凍結・免除する仕組みをすみやかにつくることを強く求めてまいりましたが、ぜひ実現させるために力をつくすことをお約束したいと思います。(拍手)

「水産特区構想」――企業が強引に土足で浜に入ることには断固反対

 政府の「復興構想会議」がもちだした「水産特区構想」は、日本の漁業制度の根幹を崩すものであり、私たちは断じて容認することはできません。

 私たちもみなさんと同じく、漁業における企業の役割を一律に否定するものではありません。しかし、企業が地元の意向を無視して、強引に土足で浜に入ることには断じて反対であります。(拍手)

 復興の主役はいったいだれか。それは地域であり、漁協のみなさんです。漁業者のみなさんが一体になって必死に再建をしようとしているときに、まともな復興の方策をしめさないまま、漁業者の絆を分断し、浜の秩序を破壊する。これは、まともな政治のやることではありません。私は、みなさんとスクラムを組んで断固阻止する決意を、ここに表明するものであります。(拍手)

 私は、おすしと刺し身が大好きで、早く東北の漁業が復活してほしい。心から願っています。世界有数の豊かな漁場と、東北の水産業を再生するために、みなさんと力をあわせて頑張りぬく決意を申し上げ、連帯のごあいさつとさせていただきます。(大きな拍手)





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp