2011年7月10日(日)「しんぶん赤旗」
主張
原水爆禁止世界大会
核兵器廃絶の交渉開始に向け
1945年に広島と長崎に原爆が投下されてから、間もなく66年をむかえます。
東日本大震災と福島第1原発事故というかつてない状況のもとで開かれる今年の原水爆禁止世界大会(国際会議8月3〜5日、広島大会5〜6日、長崎大会7〜9日)が、核兵器廃絶を実現していく上で、内外の大きな注目を集めています。
国際政治の現実の課題
核不拡散条約(NPT)の再検討会議がひらかれた昨年からの大きな動きは、核兵器禁止条約の交渉開始が国際政治の現実の課題となりつつあるということです。
昨年末にひらかれた国連総会では、マレーシア政府が提案した、核兵器禁止条約を早期に締結するための交渉を開始することを求める決議が圧倒的多数で採択されました。今年5月にひらかれた非同盟諸国外相会議では、「核兵器廃絶の方法」を議論する国際会議の開催をめざすことを確認しました。
この声は自治体レベルでも広がっています。「核兵器禁止条約に向けた実質的交渉の即時開始」をまず求めている平和市長会議は、151カ国・地域、4800をこえる自治体に広がっています。
被爆者を先頭とする日本の反核平和運動は、核兵器禁止条約の締結と交渉開始を求めてきました。日本原水協が2月に提起した「核兵器禁止条約の交渉開始」を求める国際署名は、潘基文(パンギムン)国連事務総長も支持を表明するなど、内外の幅広い賛同を得て広がりつつあります。これが世界の世論と運動、国際政治の声とあいまって、世界を動かしてきました。
日本共産党も、「核兵器のない世界」の実現には、核兵器廃絶を正面からの主題とした国際交渉が必要だと訴えてきました。
原水爆禁止世界大会は、世界の反核運動の代表とともに、国連や諸国政府の代表も参加する、文字通り国際的な共同の場として発展しています。目前に迫った世界大会は、核兵器禁止条約の交渉をめざす世界の努力を合流・発展させるものとして期待されています。
さらなる前進を妨げているのが核保有国を中心とした「核抑止力」論です。核兵器で各国を脅しつけるというこの政策は、国際的な非難をあび、その道理のなさははっきりしています。
日米軍事同盟のもと、アメリカの「核の傘」に依存する日本政府は、核兵器禁止条約の交渉をもとめた国連決議に棄権するなど、被爆国にあるまじき態度をとっています。核兵器持ち込みの権利を認める対米密約を破棄し、非核三原則を実行するなど真の非核化を実現し、核兵器廃絶の先頭に立つことが強く求められています。
放射線被害者との連帯
広島・長崎の被爆者の援護・連帯を原点の一つとする原水爆禁止運動は、米ソの核実験やチェルノブイリ原発事故の被害者など放射線被害に苦しむ人々との連帯をすすめてきました。あらゆる放射能被害をなくすという立場から、福島原発事故被害者への支援・連帯、原発依存から自然エネルギーへの転換も訴えています。
世界大会が、今日の情勢にふさわしい成功をおさめる上でも、この立場は重要な意義があります。国民的な反核平和運動の発展と世界大会の成功のために力を尽くすことが求められています。
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