2011年7月16日(土)「しんぶん赤旗」
介護者 2割の世帯に
多様な支援を切望 5人に1人孤立感
全国調査で判明
家族など無償の介護者(ケアラー)の実態を知り、必要な施策につなげようと実施された全国調査の結果がこのほどまとまりました。ケアラーの2人に1人が幅広く多様な支援を望んでいることがわかりました。
調査は、2010年度厚生労働省「家族(世帯)を中心とした多様な介護者の実態と必要な支援に関する調査研究事業」。ケアを広くとらえ、要介護高齢者や身体・知的・精神などの障害者の介護、難病などの看病、病児や障害児の療育など、多様なケアを担っている人を「ケアラー」と想定しました。
全国5地区(北海道栗山町、杉並区、南魚沼市、静岡市、京都市)で各4千世帯にアンケート(有効回答数1万663)などを実施しました。主催はNPO介護者サポートネットワークセンター・アラジン。
調査の結果、ケアラーのいる世帯は2割(19・5%、2075人)でした。2人に1人強が「介護」、4人に1人が「看病」、8人に1人が「子どもの療育」などにあたり、4人に1人は複数の人をケアしています。
時間的、精神的に拘束され、生活に制約を受けている現状も浮き彫りに。12人に1人は20年以上ケアしています。8人に1人は「協力してくれる人がいない」と答え、ケアによる勤務時間減、転・退職、休職などで3人に2人は「収入が大いに減った」としています。
身体に不調を感じている人は2人に1人。4人に1人以上が心の不調を感じながら、その63%が受診していません。
「介護がかなりの負担」、「非常に大きな負担」を合わせると23%に。5人に1人が孤立感を抱いていました。
ケアラーがのぞむ支援は、「気軽に休息や休養がとれる機会」(「とてもほしい」30%)などの直接支援、「在宅介護者手当」(同47%)、「年金受給要件に介護期間を考慮」(同45%)などの経済的支援があります。
「ケアをふまえた勤務体制づくり」(同30%)、「介護休業制度の普及と利用の促進」(同33%)など仕事と介護の両立支援策も切実な要望です。同時に、「本人緊急時の要介護者へのサービス」(同54%)、「要介護者へのサービスや制度の充実」(同47%)などケアをしている相手に対する支援策を強く望んでいることもわかりました。
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