2011年7月21日(木)「しんぶん赤旗」
第2次補正予算案に対する笠井議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の笠井亮議員が20日の衆院本会議で行った、2011年度第2次補正予算に対する反対討論は次の通りです。
日本共産党を代表して、2011年度第2次補正予算2案に反対の討論をおこないます。
東日本大震災、福島原発事故から4カ月以上が経過しましたが、被災地の復旧・復興は、遅々としてすすんでいません。その最大の要因は、国がどこまで具体的支援をするのかが明らかにされていないことです。
本補正予算について政府は、「当面の復旧対策に万全を期す」ものだと説明していますが、その支援策の内容は、きわめて限定されたものにすぎません。
被災者生活再建支援金を現行制度の範囲とはいえ、支給できるようにすることは当然ですが、いま求められていることは、限度額の引き上げと半壊や店舗などに対象を拡大することです。
二重ローン対策は切実な要求です。しかし、現在検討されている対策では、支援を求めている零細な業者などをすべて救済するものとはいえません。
また、仮設工場・仮設店舗整備事業、中小企業のグループの施設復旧・整備事業、漁協・水産加工協の製氷施設、市場、冷凍冷蔵施設等の復旧・整備支援などは、被災地の要求を反映したものでありますが、例えば漁業・水産業の再開・復興のためには、ワカメ、コンブ、カキ、アキサケなどの生産適期にあわせた、関連設備の一体的な早期復旧が不可欠であります。
ところが本補正予算は、使途を定めない予備費が全体の4割を占めるなど、被災者の生活と生業(なりわい)を再建するための切実な要求にこたえるには、極めて不十分なものです。
本補正予算の最大の問題は、いま審議中の原子力損害賠償支援機構法案にもとづき、東京電力救済スキーム(枠組み)である機構設立のための出資金などを計上し、賠償資金として交付国債発行限度額2兆円、政府保証枠2兆円を設定していることです。
機構法案は、東京電力に対し、「何度でも資金援助し」、「債務超過にさせない」という東電の存続を絶対の前提とした異様な救済策であり、賠償資金を公的資金の投入と電気代の値上げという国民負担でまかなうものであり、容認できません。
原発事故の損害賠償については、東電に迅速で全面的な賠償を果たさせる、このことに国が責任を持つことが基本であります。
そのためには、賠償の範囲に「線引き」をするのではなく、原発事故がなかった場合の生活や収入と被害を被った結果の現状との「差」のすべてを賠償する、全面賠償の原則を国として明確にすることが必要です。
賠償財源については、東電に第一義的賠償責任を果たさせるため、東電の全資産を可能な限り賠償に充てさせきり、株主責任やメガバンクの債権放棄を迫り、最大限の負担を求めるべきです。
また、東電や電力業界が積み立てている使用済燃料再処理等引当金2兆9千億円を取り崩し、原発推進のための核燃料再処理費用として今後も電気代から積み立てられる約16兆円などを活用すべきです。さらに、原子炉メーカーなど「原発利益共同体」ともいうべき利害関係者に社会的責任を果たすよう徹底して求めるべきであります。