2011年7月23日(土)「しんぶん赤旗」
子どもたちに渡せない
偏った歴史教科書 4団体がアピール
歴史学研究会、日本史研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会の4団体は22日、「育鵬社版・自由社版教科書は子どもたちに渡せない」との緊急アピールを発表しました。
アピールは、両社の教科書について、誤りが多く「そもそも歴史研究の成果を教科書叙述に反映する姿勢があるのかさえ疑問」だと批判しています。
内容的には、(1)民衆の主体的・能動的な姿がほとんど登場しない(2)取り上げられる人物の数が多く、学習が困難(3)架空の「神武天皇」を「初代天皇」と記すなど神話・物語と歴史との関係を誤解させ、国家形成の問題が不明瞭にされている(4)日本による植民地支配の問題をほとんど書いていない(5)近代の戦争について日本国家の正当化に終始し、アジアの被害は無視(6)平和教育を敵視し、世界の戦争違法化の動向は重視せず、日本国憲法に規定された戦後日本の体制を変えることを目的としている―の問題点を指摘しています。
文部科学省内で記者会見した歴史学研究会の池享・委員長は「偏った内容で、多くの誤りもある。看過できない」と、アピールを発表した理由を説明。両社の歴史教科書について、「自国中心主義に貫かれている。現在はアジアの中で近隣国の人々と共同関係をつくっていくことが重要で、そのために歴史から学ぶことが必要」だと強調し、それに逆行し、事実と異なることまで書いている教科書では「正しいアジア認識、日本の歴史認識は育てられない」と語りました。
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