2011年7月23日(土)「しんぶん赤旗」
義援金うけたら生活保護打ち切り
福島・南相馬 219世帯にも
日弁連調査 「収入認定やめよ」
福島県南相馬市が生活保護受給者に対し、東日本大震災の義援金や東京電力福島第1原発事故に伴う東電からの損害賠償の仮払金を受け取ったことを理由に保護を一方的に打ち切った問題で、日本弁護士連合会貧困問題対策本部は22日、同市を訪れ、実態調査しました。
市は義援金や仮払金を収入とみなし、6月1日にそれらを受け取った人の生活保護を廃止しました。国は5月2日に義援金と仮払金について、県は6月20日に義援金について、基本的に収入に含めないとする通知を出しています。
この日の調査で、保護を打ち切られた世帯は219に上ることが判明。市は今後も機械的な対応を改める姿勢を示しませんでした。
調査を終えた日弁連貧困問題対策本部長代行の竹下義樹弁護士は会見で、義援金を収入認定すべきでないとする1961年の厚生事務次官通知があり、東電の仮払金も慰謝料的な性質で、収入認定すべきでないと指摘。「震災前に405だった保護世帯が、義援金等の受け取りを理由に219も打ち切られたのは、自治体ぐるみのもの。市の福祉行政そのものが誤りを犯しているといわざるをえない」と批判しました。
竹下氏らが保護を打ち切られた当事者6人に行った聞き取りでは、収入認定を決める自立更生計画書の作成や、廃止の通知さえないまま廃止された人もいるなど、違法でずさんな市の対応が明らかになりました。
聞き取りには、日本共産党の荒木千恵子市議と福島県生活と健康を守る会連合会の弦弓高明事務局長も同席しました。
日弁連の宇都宮健児会長は同日、同市による保護打ち切りは、放射能被害から避難する自由を奪い、人道にもとるものだとして是正を求める声明を発表しました。