2011年7月24日(日)「しんぶん赤旗」

「原発ゼロの日本」へ浜岡から発信しよう

静岡県大集会 志位委員長のあいさつ


 23日静岡市内で開かれた「浜岡原発の永久停止・廃炉を求める静岡県大集会」での日本共産党の志位和夫委員長のあいさつを紹介します。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=23日、静岡市駿府公園

 みなさん、こんにちは。日本共産党の志位和夫です。お集まりのみなさんに、日本共産党を代表して連帯のごあいさつを送ります。(拍手)

 この間、福島原発事故が起こり、そのあと浜岡原発は停止となりました。この原発をとめた力はどこにあるのか。菅直人首相の力ではありません。1967年に計画が持ち上がって以来、長年にわたって浜岡原発に反対し、中止を求めてきた静岡県民のみなさんのたたかいの力だということ(拍手)、県民のたたかいの第一歩の勝利だということを、みなさんへの心からの敬意をもって申し上げたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

震源域の真上にたつ浜岡原発の危険

 問題はこれからです。

 政府は、津波対策として「防波壁」をつくるなどをすれば、運転を再開して結構だといっています。しかし、「防波壁」をつくれば、地震が来なくなるとでも言うのでしょうか。とんでもない話ではありませんか。

 私は三つの大問題をいいたいと思います。

 第一に、浜岡原発が、東海大地震の想定震源域の真上にたっている、この事実は動かしようがないということです。

 震源域の真上にたっているというのはどういう意味でしょうか。東日本大地震の震源域は海底でした。岩盤が7メートルも隆起する地殻変動が起こりました。それが大津波となって襲ったのであります。

 浜岡原発が、東海地震の想定震源域の真上にあるということは、その真下で同じような地殻変動が起こる危険があるということです。それが起こったら、原発が立地している地面そのものに巨大な地盤隆起や、地殻変動が起こることになります。東日本で海底で起こったことが、ここでは地面で起こる危険があるのです。

 たとえ原発が頑丈につくられていたとしても、立っている地面そのものが破壊されれば、複雑な配管や装置のかたまりである原子力プラントの破壊は避けることはできない。そのことは、誰が考えても当たり前の話ではありませんか。(拍手)

「想定地震M8・4」は成り立たなくなった

 第二に、私が訴えたいのは、これまで浜岡原発の想定地震はM8・4とされてきましたが、この想定そのものが成り立たなくなったということです。

 東日本大震災は、地震についての学問的知見を根底から見直すことを迫るものとなりました。この超巨大地震をうけて、東海地震、東南海地震、南海地震、この三つの地震が3連動で起こる危険が指摘されています。3連動地震では、M9以上を考えるべきだと、多くの学者が指摘しています。M9といいますと、M8・4のエネルギーの8倍になります。だから、想定地震をM8・4のままとして、大丈夫などということがいえるわけがないではありませんか。(拍手)

 この原発は「固い岩盤の上にあるから大丈夫」と説明されてきました。しかし、それもウソでした。2009年8月の駿河湾地震は、M6・5程度でした。ところが、浜岡5号機は設計値を大きく超える振動が観測されました。専門家は、「浜岡原発自体が地震波を大きく増幅させる構造になっている」と指摘しています。M6・5でも設計値を超えたのです。M9というのはM6・5のなんと5600倍のエネルギーです。M9の巨大地震がおそったら、「固い岩盤の上にあるから大丈夫」などとは絶対にいえないということを私は訴えたいと思うのであります。(拍手)

出力日本一の超巨大原発

 第三に、いま停止中の浜岡原発の3、4、5号機は、どれも出力100万キロワット以上の巨大原発だということです。とくに5号機は138万キロワットです。日本にある54の原発のうち、これ以上大きいものはありません。日本一大きい出力をもつ超巨大原発が、浜岡5号機なのです。

 福島第1原発で事故をおこし、格納容器が破損した1、2、3号機は、出力が46万キロワットから78万キロワットです。それでも事故が起きたときの被害の甚大さは、私たちが目にしているとおりです。浜岡5号機は、福島原発の2倍から3倍もの出力をもっています。原子炉というのは、出力が倍になれば、おなじ形をしていてもまったく違う原発になるといわれています。こうした超巨大原発が重大事故をおこしたときの被害は、福島原発よりも桁違いに深刻なものとなるということを強調しなければなりません。

 だいたい地震の想定震源域の上に原発をつくったことそのものが間違いでした(拍手)。浜岡原発は、永久停止・廃炉にするしかありません(拍手)。それ以外に静岡県民の命、日本国民の安全を守るすべはありません。みなさん、一緒にがんばっていこうではありませんか。(大きな拍手)

原発と人間社会は両立しえない

 そもそも現在の原発という技術と、人間社会は両立しうるのか。その答えは、福島原発事故ではっきり示されたと思います。

 多くの国民のみなさんは、この事故をみて、原発事故のもつ他に類をみない「異質の危険」を感じていると思います。すなわち、ひとたび重大事故がおこり、大量の放射性物質が外部に放出されたら、それをコントロールするすべを人類はもっていません。

 被害は、「空間的」にどこまでも広がり、現に日本列島の各地にさまざまな形で被害は現在進行形で広がりつづけています。

 被害は、「時間的」にもいつまで続くか果てしがありません。特に子どもたちの健康被害が心配です。何としても子どもたちの未来を守るためにあらゆる手立てを尽くせ、このことを訴えていこうではありませんか。(拍手)

 さらに、被害は、「社会的」にも、一つの地域社会をまるごと存続の危機においやるほど、猛威をふるっています。福島県では六つの自治体が、まるごと避難をしいられています。私は震災後、飯舘村を訪問したときのことを忘れられません。美しい花が咲き、すばらしい緑が広がる美しい村です。ところが目に見えない放射能によって、全村避難となりました。原発事故によって故郷を追われた方々が、どれだけ無念と不安のもとにあるか。私は胸が痛みます。

 ひとたび事故がおこれば、被害を「空間的」「時間的」「社会的」に限定することができない。こんな事故は他にありません。この危険をなくす方法はただ一つ、原発そのものをなくす以外にありません。(「そうだ」の声、拍手)

莫大な「死の灰」を閉じ込めることはできない

 どうしてこんな「異質な危険」をうみだすか。いま開発されているどんな原発も、燃料のウランを燃やす過程で、莫大(ばくだい)な「死の灰」が生まれるからです。「死の灰」を出さない原発はありません。出力100万キロワットの原発が、1年間につくる「死の灰」は、広島型原爆の1000発分です。ところが、人類は、この莫大な「死の灰」をコントロールする方法をもっていません。閉じ込めておく以外にありません。ところが、閉じ込められないということは、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと、3回も経験したではありませんか(拍手)。国民の命を守ろうとすれば、日本からいっさいの原発をなくすしかありません。(拍手)

 すみやかに「原発ゼロの日本」をつくれ。そして自然エネルギー、再生エネルギーの普及に本腰を入れてとりくんで、みんなが安心して暮らせる日本をつくろう。ここで力を合わせようではありませんか。(拍手)

 国民が動けば政治は変わります。ドイツでもスイスでもイタリアでも、世界的に原発撤退の流れが起こっているではありませんか。事故を起こした日本で、原発撤退の声を、浜岡から、静岡から、日本中に発信していただきたい。世界に発信していただきたい。私もがんばります。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)





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