2011年7月29日(金)「しんぶん赤旗」
「水の人権」実質化を
決議1周年 国連総会が記念会合
【メキシコ市=菅原啓】第65回国連総会は27日、水と衛生を基本的人権と定めた決議の採択1周年を記念する会合を開きました。潘基文(パン・ギムン)事務総長が演説し、水や衛生はすべての人々にとって「手に入れることのできるものでなければならない」と強調しました。
潘氏はさらに、多くの加盟国で憲法や法律に水や衛生の権利を盛り込んでいることを評価。「今こそ、その条文を現実のものとしなければならない」と訴えました。
総会には、昨年の決議採択で主導的な役割を果たしたボリビアのモラレス大統領も出席。同国が飲料水やかんがい用水を国民に提供するため、1億ドルの投資を行ってきた経験を紹介し、各国が水利用の権利を保障する政策を具体化するよう呼び掛けました。
貴重な水資源が多国籍企業によって利益本位に利用されているとして、水は民間のビジネスの対象からはずし、「公益に属するものと宣言すべきだ」と強調しました。
ボリビア国営通信ABIによると、モラレス氏の提案に対し、欧州連合(EU)や中南米諸国の代表など十数人が賛同の声を寄せました。
キューバのベニテス国連大使は、世界には安全な飲み水を確保できない人々が8億8200万人もいるなどの数字を挙げ、水の人権を擁護する国際的な共同に尽力する決意を表明しました。