2011年7月30日(土)「しんぶん赤旗」
東北の農業復興へ、政府は責任をはたせ
JA全中の「大震災対策・基本農政確立」の全国集会
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長は29日、JA全中が東京都内で開いた「東日本大震災対策・基本農政確立対策全国代表者集会」であいさつしました。その内容を紹介します。
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みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫でございます。
さきほどの全国のJAのみなさんの発言をお聞きしまして、震災から4カ月あまりもたつのに復旧が遅々として進んでいないことへの怒り、原発事故によってかけがえのない農地がけがされたことへの無念さ、この時期になぜTPP(環太平洋連携協定)かという憤りが、ひしひしと伝わってまいりました。「もう黙っていられない」という決意も、しっかり受けとめさせていただきました。
私たち日本共産党は、つぎの三つのことを政府に強く求め、その実現に全力をつくすことをお約束したいと思います。
農業の復興、二重債務――国が全面的にのりだし責任をはたせ
第一は、農業の復興の問題です。
あの仙台市の荒浜に立ちますと、津波で壊された土地をひとりの力でなおすなど、誰が考えても不可能なことです。国が全面的にのりだして、被災農地をいったん買い上げ、塩抜きも、ほ場の整備もしたうえで、返還するなど、国の責任で農地を再生させるという姿勢をはっきりとうちだすことを強く求めてまいります。(拍手)
二重債務の問題もたいへん切実な要求となっております。この問題では、国が責任をもって公的な債権買い取り機構をつくり、すべての事業者のみなさんに支援が行きわたるような仕組みが必要だと訴えてまいりました。
この点では野党間で協力の流れができ、私たちの党として改善の意見をのべたうえで、本日の参院の本会議においてそういう方向にむけて、自民党さん、公明党さんとの協力は珍しいのですが(笑い)、法案が参院を通りましたので、ぜひ成立に力をつくしてまいりたいと思います。(拍手)
原発事故被害――全面賠償を国の責任で東電に行わせる
第二は、原発事故の被害にたいする賠償の問題です。
農業被害にたいする賠償金の仮払いは、JAのみなさんの賠償請求額319億円にたいして、わずか47億円です。福島原発災害というのは、これは人災です。地震と津波は天災ですが、原発事故は人災です。「安全神話」にどっぷりつかって何の対策もとってこなかった歴代政権と東京電力による人災だということをはっきりいいたいと思います。
そして、風評被害・精神的損害をふくめて原発事故を原因とするすべての損害にたいする全面賠償を、国の責任で東京電力にすみやかに行わせることを、みなさんとともに強く求めていきたいと思います。(拍手)
手塩にかけた牛がセシウムに汚染されていた、この無念さははかりしれないと思います。政府の後手後手の対応の責任がきびしく問われています。私たちは、すみやかな全頭検査をはじめ安心して生産・出荷できる万全の検査体制をつくること、出荷困難な牛にたいする政府による買い上げをおこなうこと、正確で科学的な情報提供体制をつくること、これを強く政府に求めてまいります。
もう一つ、考えるべきは、いったん事故を起こしたらここまでひどい被害をもたらす原発という技術を許容していいのか、という問題です。私たち日本共産党は、原発からは撤退する、日本から原発をなくして自然エネルギーに切り替えていく、この方向こそ未来があると考えるものであります。
TPP参加、米先物取引問題――断念させるまでともにがんばる
第三に、TPP参加の問題であります。
これは日本農業に壊滅的な打撃を与え、安全・安心の食料供給を根底から破壊し、被災地の農業復興への最大の障害をつくるものです。震災復興を口実に、TPP参加をもちだすことは言語道断であり、絶対反対(拍手)、このことを私はいいたいと思います。(拍手)
また、主食のコメまでも投機の対象とする米先物取引も許すことはできません。
政府に、TPP参加を断念させるまで、ともにがんばろうではありませんか。(拍手)
「効率一辺倒」でいいのか――「人と人との絆」を大切にする社会へ
3月11日を契機に、私は、いま国民の価値観が大きく変わりつつあると思います。「効率一辺倒の社会でいいのか」が問われ、「人と人との絆の大切さ」が見直されております。みなさんがた、農業協同組合の役割がいよいよ大切になっていると思います。
食料・農業政策も、これまでの「効率一辺倒」の政策を大本からあらためるべきときではないでしょうか。食の安全、食料自給率の向上、地域社会の再生、豊かな自然と環境の保全など、農業の多面的な役割を生かす政治が必要です。
「効率」「効率」といい、「競争」「競争」といい、「輸入一辺倒」では未来は開けてまいりません。ここでも政治の大きな転換のためにがんばりぬくことをお誓い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます(拍手)。ありがとうございました。(拍手)